最近テレビの健康番組でTCHについて取り上げられる機会が増えています。
TCHを深く知り、患者さんと接していると、歯や歯ぐき、顎の痛みや違和感のほとんどの問題はTCHから始まるのではないかと思うほどです。
10年くらい前に、噛み合わせの権威である歯科大学の教授にお話を伺った時にもそうおっしゃっていらしたのですが、今はそれが本当に腑に落ちます。
以下は4年前に私が書いたブログからの抜粋です。
さてタイトルのTCHとは歯科用語でtooth contacting habit 歯列接触癖の略です。
実は「話す」「咬む」「飲み込む」する時以外は上と下の歯は通常接触していません。
それ以外の時に上下の歯をかみ合わせたり、接する癖の事をTCHといい、無意識でおこなっているので自分では、自覚がないことがほとんどです。
TCHがあると、歯や歯ぐき、顎に違和感や痛みなどの症状を出る事があります。
歯が凍みる、歯が全体的に浮いた感じがする、咬むと痛い、
歯ぐきが腫れやすい、歯がゆれる、歯の間に食べ物が挟まる、
顎の音がする、ガクガクする、痛い。
これらは一見、虫歯や歯周病、顎関節症の症状ですが、TCHや歯ぎしり、または食いしばりが原因で起こることもあります。
TCHが疑われる患者さんへのアドバイスとして、よくお話しするのが
”唇を閉じて、上下の歯は離して、顔の力を抜く”
です。これが何もしていない時のリラックスしたお口の状態といわれています。
これを意識すると、日中に無意識に噛みしめている事に気づくことがあります。
私自身も自分のTCHに気づいてからは、気を付けるように意識しています。
特にストレスがかかっている時期に多いようです。
ここからは2019年の追加事項です。
噛み締めていなくても、歯が触れているだけで側頭筋や咬筋といった噛むための筋肉は疲労し、慢性的な筋肉痛状態になります。疲労部位が側頭筋ですと偏頭痛の原因にもなり得ます。
また噛み締めが強いと胸鎖乳突筋といって顎の下から首の下まで伸びている筋肉も疲労します。この場合は肩こりの原因になり得ます。
当院の患者さんでも「肩が凝った後に、歯や歯ぐきが痛くなった」という方が非常に多いです。
右肩が凝れば、右側の歯や歯ぐき、顎に痛みや違和感が出るといった具合です。入れ歯を入れている方は入れ歯の右側に痛みが出ることもあります。
TCHの予防には、とにかく上下の歯を触れさせないことが大事です。
2~3ミリ程度は隙間があるようにしておくのが良いでしょう。
触れないことを思い出すために、家や職場のあちこちに付箋を貼りましょう。
書く内容は・・
「歯を離す」です。
誰かに見られると恥ずかしい人は
「!」だけでも良いでしょう。
TCHは万病のもと・・
過言ではないと思います!
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院