インプラントをお断りする方

院長の笹山です。

インプラント治療の話です。

今回は、

インプラントをお断りする方、受けない方がいい方です。

主な理由は3つあります。

1つ目は本当に大事です。これがクリアされていないのにインプラント治療を受けるのは、やめた方がいいです。

① 歯を失った原因を改善していない。

インプラントをするということは、何らかの理由で歯を失っているのですが、

それが歯周病だった場合は、かなり注意が必要です。

歯周病を改善しないで、入れたインプラントの生存率は、かなり低いです。

といいますのも、インプラントも

インプラント周囲炎

という歯周病になって抜けてしまうからです。

虫歯や歯周病で歯を失った方は、日頃のブラッシング方法の改善、徹底的な歯周病治療(歯石取り)をおこなって、お口の中の歯周病菌が少ない状態に改善してからインプラントを受ける必要があります。

もちろんインプラントが入った後も、歯医者さんでの定期的なクリーニング(最低でも3か月に1度)で、ご自身の上手く磨けない部分を綺麗にして、歯周病がリバウンドしないように、ずっと維持する必要があります。

当院では歯周病を改善するつもりのない方のインプラント治療はおこなっていません。

 

② タバコをやめられない。

 

Composition with an ashtray and cigarettes.

インプラントにとってタバコは非常に有害で、タバコを吸われる方のインプラントの生存率は有意に低いです。

これは世界中の論文で明確に示されています。

タバコはそもそも歯周病を悪化させ、治りづらくする原因でもあります。

35歳以上の90%以上は、程度の差こそあれ、歯周病を発症しています。

つまり、①の歯を失った原因の歯周病で前述したように、歯周病があって改善しようとしても、タバコの副作用のために歯周病は改善せず、悪化させてしまいます。

歯周病によりインプラントの周囲の骨が溶けてしまい、インプラントが抜けます。

当院ではタバコを吸われる方にインプラントはおこなっておりません。

 

③ 治療終了後の検診を受けない。

これも前述のことと重複するのですが、インプラントは入れた後のメンテナンスをおこなわないと生存率が低くなります。

インプラント周囲炎にならないために、定期的なクリーニングが必要です。

一般的にはインプラントだからといって、特別なクリーニングが必要なわけではなく、周りの天然の歯とほぼ同じレベルのクリーニングで大丈夫です。

インプラントは一旦入ってしまうと、ご自身の天然の歯とほぼ同じ感覚で食事や会話が出来ますので、入れたことを忘れてしまうほどです。

忘れてしまうくらい違和感がないのは、入れ歯では得ることの出来ない、インプラントならではの特徴であり、とてもいいことではあるのですが、逆に言いますと、苦労してお金もかけて入れたインプラントのことを忘れてしまい、定期検診を受け無くなる人が一定数いらっしゃるのも事実です。(幸い当院ではいらっしゃいません。)

そうすると、じわじわと前述したようなインプラント周囲炎が進行して、ある日「何か歯がグラグラするなぁ。」と思ったら、それがインプラントで、もう抜ける寸前なんてこともあります。

天然の歯は多少ぐらついても、治療次第では回復出来ますが、インプラントが揺れてしまったら、揺れないように元に戻すことは、ほぼ不可能です。

もう一点、インプラントは定期的にかみ合わせのチェックをする必要があります。

インプラントは、骨にダイレクトにくっついており、一切揺れません。

天然の歯は、骨に歯根膜というクッションを介在してくっついており、僅かに少しだけ揺れることが出来ます。↓

 

この”揺れないインプラント”と、”揺れる歯”がお口の中で混在している場合は、長年の経過とともに、かみ合わせがずれてくることがあります。

噛んだ時の力が、インプラントに集中してしまう可能性があるのです。

ですので、かみ合わせの力のバランスを維持するために、検診時に嚙み合わせの当たり強さなどの調べます。必要に応じて、インプラントの被せ物のかみ合わせを少し弱めるなどの調整をしてあげる必要があります。

当院のインプラントの保証の適応条件は、当院が定める一定期間ごとの検診を受けた方のみに適応されることを、術前の同意書にて患者様にサインをいただいてから、手術をおこなっています。

以上「インプラントをお断りする方」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

入れ歯で悩んでいる患者さん

院長の笹山です。

超高齢化社会になった今、入れ歯を使っている高齢者の方はとても多いです。

また、入れ歯で悩んでいる方はとても多いと感じています。

入れ歯の悩みといえば…

「入れ歯では痛くて噛めない。」

「顎が痩せているから、難しいと言われた。」

「何度か入れ歯を作り直したが、合わない。」

「入れ歯の違和感は仕方ないと言われた。」

「高価な入れ歯を作ったが、使えなかった。」

「入れ歯が外れる、浮き上がってくる。」

「入れ歯では話しづらい。」

「入れ歯だと知られたくないので、目立たない入れ歯を作りたい。」

などが一般的な悩みといわれています。

そして「入れ歯ってこんなものだ。」と諦めている方が結構多いと感じます。

悩みの解決方法は2つです。

1つ目は入れ歯以外の治療に変更する。

歯の残っている本数によっては、ブリッジが出来る場合があります。

ブリッジが出来ない場合は、インプラントに変えることです。

2つ目は入れ歯の上手い歯科医院に相談するです。

上手ければ何でも解決するとはいえませんが、入れ歯は歯科医の知識や技術の差が本当に明確に出る治療です。

ちょっとした詰め物や被せ物でしたら、多少技術が低くても、患者さんには分かりませんが、入れ歯は装着した瞬間に良しあしが分かってしまうシビアな治療です。

入れ歯は失った部分を補う装具で、義歯(ぎし)ともいわれます。

義足や義手を同じカテゴリーなのです。

義足や義手は義肢装具士(ぎしそうぐし)さんがつくります。

義足や義手は、誰が作っても同じでしょうか?

腕利きの義肢装具士さんが作れば、きっと使いやすい装具が出来るのではないでしょうか?

そういう体に合う入れ歯を作るのは、簡単なことではありません。

技術はもちろん、通院回数や治療時間もかかります。

健康保険外の精密な入れ歯でないと解決できない場合もあります。

「でも保険外の入れ歯って費用がかかるみたいだし…。」

お気持ちは分かります。

しかし、服や靴など、どんな物でもそうですが、安い費用でピッタリ合うオーダーメイドで作れることってありますでしょうか?

あまりないと思います。

保険適応の入れ歯が、必ずしも悪いと言っているわけではありません。

保険適用の入れ歯が合わなくて、困っていらっしゃるのなら、試しに転院してみて、他の歯医者さんで保険の入れ歯を作ってみるのもいいと思います。

1~2本の程度の歯が無い所に入れる入れ歯なら、保険と自費では大差はありません。

しかし3本以上歯がなくて、入れ歯を作る場合は、ちょっと差が出てきます。

歯が無い本数が多ければ、多いほどその差が出るといっていいと思います。

ただし自費で作れば、高いお金を出せば、すべて良くなるかと言われれば、残念なことにそうでもありません。

治療する歯科医や入れ歯を作る歯科技工士の技術が低ければ、自費でも合わない入れ歯が出来てしまいます。

実際「前の医院で勧められて自費の入れ歯を作ったけれど、全然合わなくて。」と、当院にご相談に来られる患者さんもいらっしゃいます。

その場合は、前の歯医者さんで既に高額な費用をお支払いして入れ歯を作ってしまっているので、当院で新たに自費で入れ歯を作るにしても、金銭面のハードルが高くなってしまいます。

それに加えて「高い費用を出したのに上手くいかなかった。」という気持ちになっていらっしゃるので、もうお金をかけたくないと思ってしまうのです。

入れ歯の不具合は辛いものです。

たまにしか使わないものなら、まだ我慢も出来ますが、入れ歯は毎日食事をするたびに使うので、合わない入れ歯を使っていると、1日に何回も嫌な気分になります。

好きな食べ物を食べようとした時に、入れ歯が痛かったり、外れそうになったりと気になってしまったら、せっかくの食事も楽しさが半減してしまいます。

入れ歯の悩み、あきらめないでいただきたいと思います。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

こどもの矯正 いつからどんな方法で?

院長の笹山です。

取り外し式のマウスピース矯正が流行っています。

永久歯の生えそろった大人の歯並び改善には適していると思いますが、乳歯が抜け、永久歯が生えてくる、顎が成長するという変化の大きい小学生に適しているかは、少し疑問を感じます。

当院ではこどもの歯並び改善に、拡大床という取り外し式の装置を使っています。

マウスピース矯正のように学校につけていく必要がないので楽です。

学校から帰って、夕飯以外の時間と寝ている時に装着するだけです。

ゆっくり痛くなく歯並びを少しずつ改善させる装置ですので、2~3年くらいかかりますが、ちゃんと使用すれば歯並びは良くなります。

実際のケースを見てみましょう。

拡大床装置

 

治療前 5歳のお子さん。すべて乳歯ですが、この段階で歯並びが乱れています。この歯並びが自然に良くなることは、ほぼありません。この段階では矯正は始めませんが、保護者の方には、永久歯の歯並びも凸凹になる可能性が高いことを伝えておきます。

 

拡大床開始時 7歳の時。前歯が永久歯に生え変わりました。予想通り、永久歯の歯並びが悪くなりました。これも自然には治りません。放置するともっと悪くなります。ここからスタートで問題ありません。理想的な開始時期は小学校1~2年生くらいです。

開始後1年半

凸凹がかなり改善しています。上の写真と比べて、歯のアーチがV字型から半円形に変わっているのが分かりますでしょうか?

拡大床はきちんと使うと、とても効果的な装置です。

逆にいいますと、指示通り装着出来ないお子さんには効果はありません。

当院では拡大床やプレオルソを用いた小児矯正をおこなっています。

お子さんの歯並びが気になって歯医者に行ったものの「もう少し様子をみましょう。」と言われて、本当に何もしなくていいのか不安になって来院される方が割と多いです。

お子さんの歯並び・かみ合わせで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

インプラントをすすめる歯医者。

院長の笹山です。

インプラント治療の話です。

歯医者さんでインプラントをすすめられたけど、迷っている。

こんな時にどう考えるのかについてです。

歯医者さんにインプラントをすすめられる場合は、次の2パターンが主です。

① 今ある歯を抜いて、インプラントをすすめる。

② 既に歯が無いところに、インプラントをすすめる。

②の既に歯が無いところにインプラントをすすめる。については、別の機会にブログにします。

今回は、①の今ある歯を抜いてインプラントをすすめる。

をどう考えるかについてお話します。

この場合に大事なことは、「まず、そもそも、その歯が本当に抜歯が必要なのか?」ということです。

歯医者さんによって、抜歯の基準は様々です。

大体の歯医者さんは、平均的な抜歯の基準を持っていますが、なかには…

「えっ…何でこの歯を抜歯?」と思う歯を抜歯と診断する歯医者さんもいます。

注)健康な歯を抜歯することはないと思いますが、まだ治療の余地があるのに、積極的に抜歯してインプラントをすすめる歯医者さんです。

当院にも他院で”抜歯してインプラント”を勧められたけど、セカンドオピニオンを聞きたいと来院される患者さんがいらっしゃいます。

以前には、こんなことがありました。

「抜歯してブリッジかインプラントにしましょう。」と言われて、当院にセカンドオピニオンを求めてきた患者さんです。

その歯を診察したところ、歯の神経が抜いてありましたので、100%健全とは言えない歯でしたが、普通に補強して被せ物をすれば済むような歯でした。

しかし「何処かの歯医者さんが、この歯を抜歯と診断したのだから、見えにくい問題がどこかに隠れているかもしれない、見逃しがあってはいけない。」と慎重に、CT撮影など、あらゆる角度から検査をおこない、本当に細かく診察しましたが、どう考えても抜歯の必要のない、十分に残せる歯でした。

結局、その歯は被せ物をして5年以上経ちますが、何の問題もなく機能しています。

このような残せる歯を抜歯して、インプラントを勧める理由として考えられるのは、

① 誤診

② 経営

です。

①の誤診については、何かの勘違いとしか思えないのですが、あまりないと思います。

②についてはあまり信じたくはないのですが、インプラントで儲けようと考えている歯医者さんは一定数います。そして積極的に抜歯を勧めています。その理由はいくつかあります。

1)早く抜いたほうがWinWin?

抜歯しなければいけないほど歯が悪くなっている場合は、周りの歯ぐきや骨も少なからずダメージを受けています。

歯ぐきや骨は、家でいうと土地や基礎の部分です。

家を壊して、建て直すのにも、土地や基礎が傷んでいれば、簡単に家は建て直せなくなります。

周りの歯ぐきや骨に大きなダメージを受けた状態でインプラントをする場合は、ただインプラントを埋めるだけではなく、増骨(GBRといわれます)や歯ぐきの移植などの追加手術が必要になる場合もあります。

歯がまだ残せるような状態で抜いておけば、歯ぐきや骨のダメージは少ないので、後でインプラントする時に、術者はやりやすいのです。

患者さんも追加手術が無い分、楽ではありますので、あながち間違った考えとは言えません。

とはいえ、少しでも周りにダメージを与えている歯は、早く抜歯してインプラントにするというのは、出来るだけ歯を残したい患者さんの気持ちを考えると、過剰(オーバートリートメントといいます)だといえます。

歯を残す技術があれば、状態にもよりますが、10年以上抜かなくて済む場合もありますし、周りのダメージが少々でしたら、抜歯して数か月待てば、インプラントをするのに差し支えない程度まで歯ぐきや骨は回復します。

*大規模なダメージがある場合は、早く抜いたほうがいい場合もあります。

アメリカでは一時期、信じられないような抜歯基準(どう考えても残せる歯)で歯を抜いて、どんどんインプラントにしていました。

訴訟社会であるアメリカでは、入れたインプラントが長持ちしないと訴えられる可能性があるのです。

インプラントを持たせるために、骨や歯ぐきにダメージの少ない時に歯を抜いて、インプラントをして、訴訟トラブルを避けようとする意図があったともいわれています。

2)歯医者さんの経営方針?

インプラントを多数行い、インプラントの売り上げが経営基盤の中心である歯医者さんは、ノルマに近いものを掲げて診療しているクリニックもあります。

歯を抜いて、保険でブリッジや入れ歯にするよりも、自費のインプラントの方が、利益率がいいのは事実です。

たとえば、予防のために定期検診とクリーニングを受ける患者さんが多く通うクリニックでは、定期検診の予約が数か月先まで埋まってます。

つまり、数か月先に、必ずお越しになる患者さんがいらっしゃるので、安定した経営基盤があるということです。

美容室さんと同じ感じですね。美容室は行きたい時だけ、行くというより数か月おきに必ずいくものだと思います。

しかしインプラント治療の予定は、自動的に数か月先まで埋まるものではありません。

「インプラントしてください。」という患者さんが、自然に毎月発生するということは有り得ないのです。

それなのに、インプラントを経営のメインにしてしまうと、こちらから積極的にアピールして、インプラントする患者さんを増やさなければいけません。

そのためには…ということなんです。

 

以上のような理由が、積極的に抜歯してインプラントをすすめる理由かと思います。

「歯がかなりグラグラしている。」

「歯が完全に割れてしまった。」

「過去に何度も治療した歯だけれど、一向に良くならない。」

「被せ物が取れて、根っこしか残っていない。」

など、ご自身の歯の状態の悪さを自覚されていて、歯医者さんの抜歯の診断に十分にご納得されていれば問題はないのですが、少しでも疑問や不安に感じることがありましたら、迷わずにセカンドオピニオンを受けることをお勧めします。

以上「インプラントをすすめる歯医者」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

インプラントしない歯医者。

院長の笹山です。

インプラント治療の話です。

インプラント治療は、どこの歯医者さんでも受けられる治療ではありません。

なぜインプラントをする歯医者さんと、しない歯医者さんがあるのでしょう。

私が大学を卒業したのは20数年前ですが、インプラントはまだ一般的な治療ではなく、歯科医の間でも懐疑的な治療でした。

「あんな金属のネジを骨に埋め込むなんて、長持ちするわけがない。危険だ。」と言う先生が普通にいた時代です。

ですので、私より少し上の世代の先生は、インプラントをしない先生も結構いらっしゃいます。

当時は私自身もインプラントが本当に長持ちするのか判断できなかったので、実際にインプラント治療を始めたのは少し遅く、卒後10年過ぎた頃からでした。

そして現在ではインプラントは特別な治療ではなく、普通におこなわれる時代になりました。

失った歯を補う治療方法として、インプラントとブリッジと入れ歯を比較すると、インプラントが一番経過良好(長持ちする)であるというデータが数多く出ています。

私自身もインプラントの症例数を重ね、その後の経過を診るようになってから、インプラントは適切に診断し、適切に行えば、患者さんのためになる良い治療だと今は確信しています。

歯医者がインプラントを出来たほうがいいのか、出来なくてもいいのかに関しては、出来た方がいいと思います。

インプラントだけ他の先生に紹介して手術してもらうという先生もいらっしゃいますが、やはり自分の患者さんには、自ら手術を出来る方がいいと思いますし、患者さんも安心されると思います。

インプラントは治療後のメンテナンスも非常に大切ですので、他の先生にしてもらったインプラントを、インプラントの知識がない先生がフォローするのは、やや難しいかと思います。

ではなぜインプラントをしない先生がいらっしゃるのか?

私が考える理由は5つあります。

①インプラント治療は、大学で習っただけでは出来るようにならない。

今の歯学部の学生はインプラントの講義も普通にあるようですが、それはあくまでも触りの部分だけで、その授業を受けたからといって、手術が出来るわけではありません。

私が学生の頃は、そもそもインプラントの授業はほぼ皆無でした。

ですのでインプラント治療を身につけるには、大学を卒業後、仕事をしながら休みの日に何度も講習会に参加して学ぶ必要がありました。

1回講習会に出ただけで、出来るようになる治療ではありませんし、するべきではない治療です。

インプラント治療は、歯ぐきを切る、骨に穴を開ける、骨にインプラントを入れる、切った歯ぐきを縫う、歯型を採る、歯を被せる。

文章で書くとこれだけなのですが、解剖学的な知識や手術手技の知識を考えると相当な量の勉強をしないと、安全確実に出来るようにはなりません。

ちなみに私の場合は、勤務医時代にインプラント治療をおこなっている歯科医院に勤務し、その後勤めた歯科医院で日本口腔インプラント学会専門医の先生に直接指導していただき、初めての手術から3回ほどは、その先生にオペ介助についていただいて、やっと1人で簡単なケースから取り組めるようになったぐらいです。

ですので、そこまでの時間と費用をかけてまで学ぶ価値がないと考える先生もいらっしゃると思います。

② そもそも外科手術が好きではない。

歯医者だから抜歯くらいはするけれど「そもそも血を見るのが嫌い。」「外科処置はしたくない。」という歯医者さんは意外に多くいます。特に男性の歯科医です。

実はインプラント治療は抜歯に比べて、出血も少ないので、私自身は難しい親知らずの抜歯をするのと比べれば、インプラント治療の方が楽だと感じているのですが、骨に穴を開けて、金属製のインプラントを埋めて置いてくるという行為は、歯を削ったりするのとは違う感覚ですので、心理的なハードルが高いと感じる歯科医の先生もいらっしゃると思います。

私は特に外科手術が好きというわけではありませんが、インプラント治療を出来ないというのは、自分の医院の患者さんにとって不利益だと考えて、インプラント治療を取り入れました。

③ インプラント治療に必要な器具の導入にはかなりの費用がかかる。

インプラントに使用する器具を導入するだけで、軽自動車1台分くらいの費用がかかります。

今の時代は術前のCT撮影は必須です。パノラマレントゲンやデンタルレントゲンといわれる2次元のレントゲン写真だけで手術するのは危険です。ですのでCTを撮影できるレントゲン装置がない歯科医院で手術を受けるべきではありません。

CTの値段もここ10年くらいでだいぶ下がりましたので、最近の若い先生方は開業時からCT撮影出来るレントゲン装置を導入するのが普通になっています。

値段が下がったといっても、今でも高級外車が1台購入できるほどの値段はしますが…。

そして技術を身につけるには、前述のような講習会に何度も参加しなければなりません。これも総額で軽自動車1台分くらいかかります。

それだけの投資をしても、実際にインプラント治療をしなければ、投資した分は回収出来ないと考えて、導入しない先生もいらっしゃいます。

④ インプラントは準備が大変。

インプラントは通常の治療と違って、手術器具の準備や、手術する環境、スタッフへの手術介助の教育などのインプラントをおこなうためだけに新たなシステムを作ることが必要で多くの時間と労力を必要とします。

当院でも手術器具の専用準備リストを使用し、2重チェックをかけで準備をしています。

手術に使う外科器具の量が多いので、一度に滅菌出来ません。日々の治療に使う器具も毎日滅菌していますので、その合間を縫って、手術日の3日以上前から、滅菌器で滅菌をしています。

手術日の前日からは、手術をするユニットも手術仕様に変更します。

ちなみに手術後の片付けも細かい器具が多くて、なかなか大変です。

こういうことを手間を考えると、インプラントは煩わしいなと思う先生もいらっしゃるかもしれません。

⑤インプラント治療をおこなわない経営方針。

最近では小児歯科専門や予防歯科専門で開業されている歯医者さんもあり、外科処置は極力おこなわない経営方針も歯医者さんもあります。

 

以上の①~⑤がインプラント治療をしない先生の理由ではないかと思っています。

インプラント治療は正しくおこなえば、本当に良い治療です。

ちなみに当院はインプラント治療専門医院ではないので、すべてのケースに対応しているわけではありません。

以下の4つには対応しておりません。

①骨が弱い、またはほとんど無いケース。

②前歯のインプラント治療。

③歯がほとんど無い、もしくは1本も無い方へのインプラント治療。

④他院でおこなったインプラント治療のリカバリー。

この4つはインプラント専門医レベルでないと良い結果が出せないと考えておりますので、当院ではおこなっておりません。

当院は普通に骨がある部位に、基本に忠実に丁寧に手術することをメインにインプラント治療をおこなっています。

当院での一例↓

以上「インプラントしない歯医者。」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院