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さて、皆さんは弱っている歯を出来るだけ抜かない歯医者と、抜く歯医者さんでは、どちらの歯医者さんが良いですか?
普通は、出来るだけ抜かない歯医者さんを選ばれると思います。
出来るだけ歯を残して欲しい、抜かないで欲しいというのは皆さんの共通認識だと思います。
しかし、
実はこの出来るだけ抜かない歯医者さんは、2タイプあります。
1つは、
出来るだけ抜かないために、最新の治療技術を用いて、その歯に出来るベストの治療を尽くす歯医者さん。
2つは、
抜きはしないけれど、治療はおこなわず、経過観察するだけの歯医者さん。
2つのどちらの歯医者さんがいいかは、難しい側面があります。
なぜなら、そもそも弱っている歯に対して、最善の治療を尽くしても、長持ちしない可能性があるからです。
また、今のところ、弱っている歯を元通りの健康な歯にする治療方法は存在しません。
しかし、経過観察するだけ歯医者さんでは、注意しなければならないことがあります。
歯の弱り方にも、いくつか種類があるのですが、
歯の根が割れてしまった歯(歯根破折といいます。)や、重度の歯周病の歯を抜かないことには、大きなデメリットがあります。
歯根破折
グラグラの歯を抜かない6つのデメリット
歯根破折していたり、重度の歯周病でグラグラしていても、出来るだけ自分の歯を抜きたくない患者さんが、
歯医者さんに「もう治療は出来ませんが、経過観察して、本当に痛くなったら抜きましょう。」と言われたらどうでしょう?
その患者さんは「自分の意志を尊重してくれる、出来るだけ抜かない良い歯医者さん。」と思うかもしれません。
もちろん、私も患者さんの意志を尊重することには、全く異論はありません。
しかし、その決断をするに当たって、
「抜かずにおいて置いたら、どういうデメリットがあるか?」
という説明を受けているかが、とても大切です。
歯根破折している歯や、重度の歯周病の歯には細菌が常に繁殖していますので、腫れたり痛くなる可能性が高く、そのたびに歯の周りの骨を溶かしてしまいます。
いよいよ痛くなって歯を抜いた時には、歯の周りにあった骨ごと大幅に失ってしまい、後から失った歯を補う治療をするのが難しくなったり、出来たとしても長持ちしない治療になったり、最悪治療が出来なくなる場合があります。
歯を失った場合はブリッジ、入れ歯、インプラントの3つが一般的な選択肢です。
ブリッジ・入れ歯・インプラントどれがいい?
ブリッジについては、失った歯の周りの骨が少ないと、いびつな形のブリッジになり、清掃性が悪くなり、細菌が繁殖しやすくなり、ブリッジの支えに使っている歯を失う可能性があります。
入れ歯については、骨を失うことで、入れ歯を乗せる歯ぐきも大幅にやせ細ってしまい、痛みや違和感の大きな入れ歯を作らざるを得ない場合があります。
入れ歯に関しては、歯ぐきが大幅に痩せた場合は、痛みが出やすくなったり、安定が悪くなるので、当院では、シリコン入れ歯やインプラントオーバーデンチャーという方法で対応する場合もあります。
シリコン入れ歯
インプラントについては、失った歯の周りの骨がどれくらいあるかが、インプラントがどれくらい長持ちするかに関わってくる大切な要素ですから、骨を大幅に失うと、成功率は落ちますし、そもそもインプラントが出来なくなる可能性もあります。
私の医院にも様々な理由で歯が抜けた後の周りの骨を大きく失った患者さんがいらっしゃいます。
その方々にインプラント治療をおこなう場合、通常の方法ではインプラントが出来ないので、人工骨など使って、足りない骨を補って手術します。
しかし、人工骨で補うと、手術自体も複雑になりますし、人工骨は元からある骨を比べて、弱いので、本当は使わずに手術したほうが良いです。
また、人工骨を使うことで、材料代や追加手術費なども頂くことなり、患者さんの費用負担も増えてしまいます。
それでも人工骨を使わないとインプラントが出来ないので、やむを得ずに使っているというのが本当にところです。
まとめ
出来るだけ抜かない歯医者さんは良いけれど、抜かないでそのままにしていたら、後で困ることはないか?を聞いてから、抜かない決断をすることをお勧めします。
以上「なるべく歯を抜かない歯医者さん。」でした。
皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院