歯にトラブルが多い人、少ない人*昭和世代

院長の笹山です。

虫歯が減っています。

毎年、小学校や保育園の検診に行きますが、ほとんど虫歯はありません。

その一方で昭和世代の方は、未だに治療が減りません。予防のために定期的にクリーニングを受けている方々でも例外ではありません。

理由は治療した部分が、また虫歯になったり、神経を抜いた歯が割れて抜歯になったり、差し歯や詰め物が取れてしまったりと様々ですが、基本的には過去に治療した歯の再治療が必要になっているということです。

今、虫歯の治療跡の無いお子さん達は、このまま虫歯無しで大人になれれば、虫歯に関しては心配なく、歯周病を予防すれば大丈夫だと思います。

しかし昭和世代の方々は、まだ予防が浸透する前の世代の方々です。昔は「痛くなったら歯医者に行く。」というのが普通で、子供の頃に定期検診やクリーニングを受けていた方は少ないと思います。また、歯磨き粉にも、今のような虫歯予防に効果的な高濃度フッ素は配合されていませんでした。

ですので、既に治療されている歯がたくさんある方が多いのです。

その方々へのアドバイスとしては、悪くなった歯をちゃんと治すということです。

「虫歯の再発」「詰め物や差し歯が取れる」「神経のない歯が割れる」

などは、治療によって再発リスクを減らすことが出来ます。

「歯にピッタリとフィットし隙間から虫歯になりにくい被せ物」

「抗菌性が高く、磨き残しが溜まりにくい被せ物」

いわゆるセラミックやジルコニアという材料です。

保険適応外治療となりますが、予防効果は高いです。

歯科医として経験の浅かった頃は「セラミックが虫歯になりにくいなんて本当だろうか。」「もし数年後に虫歯になったら患者さんからクレームが来るかもしれない。」などと思いながら、恐る恐る治療した記憶があります。学問ではセラミックの優位性を学んでいても、自分でした治療の数年後の予後を追った経験がないので、自信が持てなかったのです。

しかし、歯科医になって20数年が過ぎ、数多くのセラミックやジルコニアを患者さんに施術し、5年後、10年後の経過をみると、明らかに保険治療の銀歯より長持ちすることを今は確信しています。

この流れをご覧ください。

治療した歯が数年後にトラブルが起きる↓ 2次虫歯です。

 

何度も治療した歯が弱くなって割れてしまい抜歯になる↓

 

小さなブリッジや入れ歯を入れる↓

ブリッジの平均寿命は?】長持ちさせる4つの方法&再治療時のポイント | 北戸田COCO歯科インプラント専門サイト 

 

ブリッジや入れ歯を入れることで、周りの歯に過重負担をもたらし、周りの歯が更に悪くなり、抜けてしまい、更に大きな入れ歯を入れる↓

 

入れ歯では噛みにくいので、入れ歯以外の歯で噛むことが多くなり、その歯が過重負担で弱り、抜けてしまう。

そして最後には↓ 総入れ歯になる可能性もあります。

この負のスパイラルは、歯を少しずつ失っている昭和世代に本当に多いです。

歯は無くなれば、無くなるほど、残っている歯の負担が増して、弱っていきます。

怪我で例えると、小さな傷のうちに再発しないように治しておくことが大切です。あちこちに傷が出来て、どこからも出血していたら、収拾がつかなくなります。

入れ歯やブリッジは歯を痛めやすいので、インプラントが一番良いのですが、歯が抜けるたびにインプラントをしていては、手術や費用負担がかなり大きくなり、きりがありません。

以上をまとめますと

歯に治療跡の多い方、歯に頻繁にトラブルが起きて歯医者さんに行く方は、いわゆる定期検診やクリーニングという予防だけではなく、過去に治療した歯を再発しないように適切な材料で治すことも、ご自身の歯を出来るだけ残すために大切な予防といえます。

以上「歯にトラブルが多い人、少ない人 *昭和世代」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

欠けた歯の神経を保存しました。

院長の笹山です。

食事中に歯が欠けてしまって、冷たい物が凍みるようになり、噛むのも痛くなってしまった患者さんです。

奥歯の内側が大きく欠けてしまっています。

欠けてしまった破片をお持ち下さいました。

神経に近い部分に神経を保護する薬を塗りました。

その薬の上から、樹脂でコーティングします。これで冷たい物などの刺激を遮断します。

この状態で1~2週間様子をみて、凍みる症状や噛むと痛い症状が消えるか様子をみます。

症状が消えない、もしくは悪化した場合は神経を抜く可能性があります。

症状が消えた場合は、被せ物で全体をカバーして直す予定です。

最後に歯は年齢と共に、内部の水分が失われ、割れたり欠けたりする可能性が上がります。

極端に硬い物などを食べるのは控えましょう。

以上「欠けた歯の神経を保存しました。」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

歯の神経、抜くとどうなる?

院長の笹山です。

歯の神経を歯科用語で歯髄(しずい)といいます。

当院では虫歯が大きくて神経が露出する寸前まで削っても、もしくは神経が露出してしまっても、神経をなるべく抜かない処置をおこなっています。

神経が露出しなくても、神経寸前まで歯を削ると、後で痛みが出ることがあり、治療完了時には痛みがなくても、数か月後、数年後に痛みが出て神経を抜くことになることがあります。

後で痛みが出る可能性があっても、あえて神経を残すのは、歯は神経を失うと歯の寿命が短くなるからです。

寿命といっても、何年短くなるとかではなく、神経を抜くことで歯の水分が失われ、歯が割れてしまって抜歯になったり(歯根破折といいます)、歯の根の先に膿が溜まる根尖性歯周炎という病気になり、これが酷くなると抜歯に至ることもあります。

歯根破折(しこんはせつ)

 

根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)

つまり神経を抜くことで、抜歯につながる病態が生まれる可能性があるということです。

ですので、これまでなるべく神経を保存する治療をおこなうようにしてきました。

しかし、多くの神経保存治療を経験するなかで、術後何年も問題が無いケースがある反面、痛みが出て神経を抜くことになったケースもそれなりに経験してきました。

神経近くまで削った場合や、神経の一部が露出した場合にそれぞれ神経を保護する薬剤があるのですが、どれだけ丁寧に処置しても後で痛みが出るケースがあります。

・神経保存治療の流れ

術後に痛みが出る原因として、虫歯の取り残しなどの不手際を除き、適正に処置できた場合においては、

神経保存の可否は”年齢”が大きなカギになると思います。

20代くらいの人ですと細胞の活性も強く、神経に一時的なダメージが加わっても修復する力が強いです。

30代以降では、予後が良くないことが多く、40代を超えるとかなり厳しいと思います。

・神経の保存を断念したケース

真ん中の歯が歯の横から大きな虫歯になっています。

 

虫歯を慎重に削っている最中

 

虫歯の穴の上に見える赤い点が神経です。虫歯が大きすぎて神経の一部が露出しました。

このケースは患者様のご年齢その他を考慮し、患者さんに十分に説明し、同意を頂いたので神経を抜きました。

もしこのブログをお読みの方に歯科医の方であれば「えっ?MTAでいけない?」となると思われると思いますが、確かに当院でも通常ならMTAするレベルです。

年齢が神経保存のキーになることは学問として理解していましたが、多くのケースからそれが正しいことを今は実感しています。

ですので最近では年齢が比較的高い患者さんには、神経を保存できない可能性が高いことを説明し、同意が得られれば、神経を保存を断念し、神経を抜くこともあります。

神経を抜くと歯の寿命が短くなるのは確かですが、神経を抜く処置を丁寧におこなうことで寿命を延ばすことは可能です。

そして何よりも大切なことは、そのような処置に至る虫歯を作らないことですね。

日頃のセルフケアと年2~3回の検診とクリーニングで虫歯や歯周病を予防しましょう。

以上「歯の神経、抜くとどうなる?」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院