舌が痛い。ヒリヒリする。

院長の笹山です。

当院には「舌が痛い。ヒリヒリする。」と来院される患者さんが結構いらっしゃいます。

考えられるのは…

1)口内炎

2)舌痛症

3)ドライマウス

4)カンジダ症

5)被せ物や入れ歯の不具合

6)良性腫瘍や癌など

などです。

この中で原因として多いのは、ドライマウス(口の乾燥)です。

口の乾燥には原因が色々あります。

1)鼻呼吸ではなく、口呼吸している場合。

2)薬の副作用で唾液の分泌が減っている場合。

3)加齢現象で唾液の分泌は減った場合。

4)アルコール成分を含むうがい薬を頻繁に使う場合。

5)ストレスや更年期障害がある場合。

ではなぜ口の乾燥が、舌の痛みやヒリヒリの原因になる可能性があるのでしょうか?

口の中には凸凹した歯があるのに、舌が触れても痛くないのは、唾液で濡れているからです。

話したり、食べたりするときに舌があちこちに動いても、唾液が潤滑油となって、歯に触れても痛くないのです。

この唾液が減ると、舌の動きにスムーズさが無くなります。

歯は年齢と共にすり減っていき、歯の表面の凸凹が減り、平らな面になっていき、面になった部分の端っこは角になります。

擦り減ってギザギザした前歯↓

このすり減ってギザギザした歯は、普段唾液で濡れていると気にならないのですが、唾液が少ないと舌が擦れたりして、痛くなることがあります。

詰め物や被せ物、入れ歯の段差も、唾液が少なくなると、舌に擦れる可能性があります。

当院では、まずお口の中をチェックして、そのような段差や角が無いか確認します。そして乾燥の原因が他にないかを診察をします。

そして、原因が特に見られない場合は舌痛症を疑います。

舌の痛みやヒリヒリが気になる方の中には「もしかして悪い病気?」などと悩まれている方が多いです。そんな時はご相談いただければと思います。

以上「舌が痛い。ヒリヒリする。」です。

 

何とかなりました。短期集中治療。

院長の笹山です。

海外から一時帰国中の患者さんが定期健診で来院されました。

「フロスが引っ掛かる歯があるので気になる。」とのことで

拝見したところ、レントゲンで虫歯が発覚!下の画像、向かって右から2番目の歯です。

矢印部分が虫歯です。ここにフロスが引っ掛ってしまうのです。そして赤い丸で囲った部分は、歯の根の先に膿の袋が出来ており、神経が死んでしまっています。

神経が死んで壊死している場合は、今は無症状でも、いつ猛烈な痛みを生じるか分からない危険な状態です。海外でそんな事態になったら、大変です。

こうなると虫歯を削って、型取りして次回被せて終わり!というわけにはいかず、まず壊死した神経の治療からおこなわなければなりません。

すぐに帰国日をお聞きして、帰国ギリギリまでに治療を終えるスケジュールを考えました。

時間が無いからといって、治療の質を落とすと、また痛みが起きたり、再発の原因になりますので、必要な治療回数を換算すると、かなりタイトなスケージュールとなりました。

歯の根の治療後↓

 

元の被せ物を除去したところ↓ 茶色い虫歯が見えます。(レントゲンの赤矢印で虫歯だったところです。)レントゲンで見るより、虫歯は大きかったです。

 

虫歯を取り残さないように、赤色の虫歯染め出し液で虫歯を染め出しているところ↓ この染め出し液を塗って、水洗した後も赤色が残る部分が虫歯です。

 

虫歯をすべて除去したところ↓ 濃い赤い部分は、歯ぐきの炎症です。

歯の補強を終えたところ↓

ここまで来たら、後は歯型を取って被せ物が出来たら装着して終わりですが、今回のように通院可能期間に制限がある場合は注意が必要です。

万一、出来上がった被せ物が合わない場合、通常であれば歯型の取り直しなどで対応しますが、今回は帰国まで日にちがないため、再度歯型を採って作り直す事は日程的に不可能でした。

装着は1回勝負となります。

しかし何事もそうですが、絶対はありません。

そこで万一に備えて、歯科技工士さんにお願いして、今回装着予定のジルコニア製の被せ物とは別に、プラスチック製の仮歯も同時制作してもらいました。

万一、ジルコニア製の歯が合わなかった場合は、プラスチック製の歯を装着するのです。プラスチックは強度が落ちる分、部分的にプラスチックを足したり、削ったりして、形の調整が出来るので、少々合わなくてもその場でカスタマイズして歯に合うように調整することが可能です。

一方、ジルコニアは削ることは出来ますが、その場で足すということが出来ませんので、歯と歯の間のきつさが緩いとか、咬み合わせが低い場合などにも、その場で足すことが出来ない材料です。

出来上がった2つの被せ物を見比べてみます。右がジルコニア製、左がプラスチック製の被せ物です。見た目の違いは分からないと思いますが、材質はかなり異なります。

ジルコニアの被せ物の方が抗菌性が高く、割れることもほぼ無いのですが、プラスチック製でもPMMAという強度の高いプラスチックを選べば、1年ぐらいは持つと思います。

今回は万一の事態が起こらず、無事にジルコニア製の被せ物を装着出来ました↓

幸いこの患者さんは、日本に滞在中の時間的制約が少なかったので、週3回程度1回約1時間の予約枠をあらかじめ数回分確保して、何とか歯を被せて噛めるところまで辿り着くことが出来ました。

歯を作る歯科技工士さんにも協力をお願いして、被せ物の製作期間を通常の半分以下の納期にして頂きました。(ありがとうございます!)

被せ物を装着した日に、今後の虫歯予防のためのアドバイスをしっかりとおこない、その次の最後の予約では、噛み合わせの微調整と予防のためのクリーニングをおこないました。

今回少々大変でしたが、質を落とさず、しっかり治療が出来ましたので良かったです。

患者さん、お疲れ様でした!タイトなスケジュールだったと思いますが、こちらの予約状況に合わせて来院して下さったので、スムーズに治療が進みました。

また帰国の際にはメンテナンスでお待ちしています^^

治療中だけど歯医者を変えたい

「治療の途中なんだけど、歯医者さんを変えようかな。」と思う時ってあると思います。

理由は様々だと思いますが、実際に変えようとする前に

以下のようなことに迷うかもしれません。

① 今通ってる歯医者さんに連絡したほうがいいのか?

② 今通っている歯医者さんに引継ぎの紹介状は書いてもらえるのか?

③ 新しい歯医者さんに治療の続きを頼んでも大丈夫か?

 

①~③に対する歯医者である私の見解を書きます。

① 今通ってる歯医者さんに連絡したほうがいいのか? 

次回の予約をしている場合で「とんでもなく嫌なことがあった!」「もう二度と関わりたくない!」とかでなければ、キャンセルの連絡はした方がいいです。

無断キャンセルをされると歯医者さんが困るのもそうなんですが、予約日に患者さんがいらっしゃらない場合、電話やメールで連絡してくる歯医者さんが結構あります。

それは「何で来ないの!」の連絡ではなくて「予約日を間違えていらっしゃらないかな?」などの確認の電話なんです。

そういう確認の連絡が来て、放っておいたとしても、その後何度も連絡が来たらちょっと困りますよね。

どう言って断るかですが、

「治療が痛かったから。」「説明が足りなかったから。」「対応が悪かったから。」など本当の理由を告げることも、その歯医者さんの改善のためにはありがたいことなのですが、そのようにはっきりと言いたくない、言えない場合の無難な理由は、

「忙しくてしばらく予定が分からないので、またこちらから連絡します

がいいと思います。

通常はこれで十分なんですが、極まれに電話で「その後、ご都合はどうですか?」やハガキで「治療途中の歯があります。」的なお知らせをする歯医者さんもあります。

二度と連絡して欲しくない場合は、

「こちらの都合で通院出来なくなったので、他の歯医者にかかることになりました。」

がいいと思います。これだとあくまで自己都合という表現になるので、歯医者さんはもう連絡して来ないでしょう。

② 今通っている歯医者さんに引継ぎの紹介状は書いてもらえるのか?

これは引っ越しなどの転居でやむを得えない場合以外では、やや難しいかと思います。

治療時のレントゲンなどもあるに越したことはないのですが、何の資料もなくても、余程のことでなければ、新たな歯医者さんでレントゲンなど撮り直して診断すれば、ほぼ問題なく再開できると思います。

③ 新しい歯医者さんに治療の続きを頼んでも大丈夫か?

これは特に嫌がられることなく大丈夫だと思います。実際、治療の途中で転院されてくる患者さんも割といますし、歯医者さん側は慣れています。

ただし今受けている治療が矯正やインプラント治療などの自費治療の場合や、自費治療でなくても長期に渡り複雑な治療を受けられた場合は、電話等で引継ぎ可能か問い合わせてから初診の予約を取ることをおススメします。

いかがでしたでしょうか?

私個人の気持ちですが、歯型を採ったりして、何かを製作し始めた場合は、歯医者さんにキャンセルの連絡をしてあげてください。

そのまま歯が完成してしまうと、患者さんに装着されることのない物に、歯医者さんは金属代などの材料費を支払ったり、歯を作ってくれる歯科技工士さんに製作料を支払わなければなりません。

早期のキャンセルの連絡を頂ければ、歯科技工士さんに製作のストップを指示することも出来るんです。

また、その歯が自費の治療だった場合は、歯医者さんと患者さんの個人契約になりますので、歯を入れなくても物が完成してしまった場合は、費用を請求される可能性がありますのでご注意ください。

それと…

治療した歯が痛かったり問題があると、不安や不信感が湧くかもしれませんが、一度は治療した歯医者さんに診てもらって、現状を伝えていただくとよいと思います。

実はその治療は、痛みの出やすい治療だったかもしれません。歯医者さん側の伝え忘れや説明不足だったかもしれませんが、治療後の体というものは予期せぬ反応を起こすことがあります。不安や怒りの気持ちをちょっと我慢して頂き、一度診てもらうと、もしかしたら、その時に解決するかもしれません。

それでも歯医者側から明確な答えや誠実な対応がなかった場合は、転院も止む無しですが、そんな場合でも新しい歯医者さんで「前の歯医者さんでこういう痛みがあって、再度診て貰ったら、こういう説明を受けた。」という話をして頂くと、新しい歯医者さんでの診断の参考になることがあり、早く治る方向に導かれるかもしれません。ですので、もう一度同じ歯医者さんに診てもらうのは、患者さんにとってもマイナスばかりではないんです。

あと…

たまになんですが、新しい歯医者さんで、前の歯医者さんでの経緯をお話しされる時に「こんなことがあって本当に嫌だった。腹が立って仕方ない。」と、話しながら当時の不快な気持ちを思い出されて、怒りをぶつけてこられる方がいらっしゃいます。

お気持ちはすごく分かるのですが、新しい歯医者さんで新たに治療を受けられるという前向きな気持ちで、お話ししていただくとスムーズに移行出来るのでないかと思います。

あまりに不満を告げられると、こちらとしても、うちで満足して頂けるのかなと不安な気持ちになることがあります。

最後に…

やはり人間なんで相性ってあると思います。

歯医者さんと患者さん、どちらがどうとかではなくて生理的な相性の問題です。

毎回毎回「何か話しにくいな。」「聞きにくいな。」とか、何かされたわけじゃないんだけど、なんか嫌だなと思う場合は、転院してもいいと思います。

「歯医者さんはコンビニの数より多い。」といわれてから何年も経ちます。

何軒か当たれば、絶対合う歯医者さんがあります。

こちらも参考にどうぞ↓

転院したほうがいいかもしれない歯医者

以上「治療中だけど歯医者を変えたい」でした。

ご参考になれば幸いです。

当院では治療途中の患者さんも問題なく治療をお受けいただけます。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

拡大鏡(ルーペ)を用いた歯石取り

院長の笹山です。

歯医者さんでは治療する歯や歯ぐきがよく見えるように、拡大鏡(ルーペ)を用いることがあります。

歯を削る時にもルーぺは使用しますが、歯石取りやクリーニングでもルーペは有効です。歯石や歯垢を徹底的に取ることで虫歯や歯周病は予防出来ますので、そのためにまず”汚れ”がちゃんと見えることが大切です。取ったつもりでも見えていなければ、取れていない⤵

6倍の倍率で見るとこれくらいで見えます↓

以前は歯石取りまでルーペは使わなくても…という考えでしたが、現在はほとんどのすべての治療で使用しています。

私が使用しているルーペは、サージテルというメーカーもので、歯科に限らず、脳神経外科、心臓血管外科、形成外科など、細かい部位を見ることを必要とされる外科系のドクターが好んで使用しているメーカのものです。

ルーペを装着するとこんな感じです↓ ちょっと見た目がロボチックで怖いかもしれませんが、より良き治療のためです。

ルーペは倍率が高ければ高いほど、よく見えるのですが、歯石取りは歯だけでなく、歯ぐきや喉に溜まったお水などを確認するために、お口全体を見回しながら行うので、3倍くらいの倍率がお口全体を見渡しつつ、歯石をしっかり確認出来る適正な倍率だと思っています。

ちなみに当院では歯科衛生士だけでなく、歯科医師も歯石取りやクリーニングをおこなっています。

「歯石取りって歯科衛生士がすることじゃないの?」

と思われるかもしれませんが、実は歯科医師も歯科医師免許を取得するために学生の時に歯石取りの授業や実習が必須になっており、免許取得後も歯科医師が自ら歯石取りをおこなうのは普通のことなんです。

私自身は歯石取り歴15年くらいで、当院では重い歯周病の患者さんのほとんどは私が担当していますので、ご安心ください。

以上「拡大鏡(ルーペ)を用いた歯石取り」についてでした。

 

歯医者さんによって診断が違う?全部やり直し?

院長の笹山です。

歯医者を変えてセカンドオピニオンを聞きに行ったら「被せ物は全部やり直した方が良くて、期間は年単位でかかる。」と言われたけれど、その前の歯医者では、被せ物についてやり直しと言われたことがない。

「どっちが正しいの?」患者さんは混乱して、当院にいらっしゃいました。

困る男性のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

なぜこんなに治療方針が違うのでしょう?

一度治療した被せ物や詰め物について、装着当初のまま完璧な状態を維持している物はほぼ存在しません。

少しすり減っていたり、変色していたり、ルーペなどで拡大して見ると少し隙間があったり、歯と歯の間が若干空いていて、食べ物が挟まりやすそうだったり。

そういう少しでも問題がある、もしくは問題がこれから起こりそうな物は全部やり直した方がいいという考えの先生は確かにいらっしゃいます。

間違いではないと思いますが、私の考えは少し違います。

これは臨床経験の年数にもよると思いますが、完璧でなくても、意外に長く機能する被せ物や詰め物はあります。

大切なことは、そういう歯について患者さんに情報提供はおこない、どうされるかは患者さんに選択権があるように説明することだと思います。

たとえば

「この被せ物はだいぶ古いようですので、接着剤などは剥がれてきて、外れることが今後あるかもしれません。」「私の経験ではすぐにやり直す必要はなさそうですが、○○さんが今後問題が少しでも起きることが心配であれば今回やり直しすることも可能です。」

や、

「この詰め物は少し隙間がありますが、○○さんは歯ブラシがよく出来ているので、しっかり磨いていれば問題は起きにくいと思います。これからメンテナンスしながら、やり直す必要があるか経過観察していくのがいいかと思いますが、どうでしょう?」

などです。

そこで患者さんから

「悪くなる少しでも可能性があるなら、今やり直したい。」

などのご希望があれば、今回やり直すこともありだと思います。

しかし、ほんの僅かな問題があるかないかのレベルの物を全部やり直すというのを現実的に考えますと、相当な時間と費用がかかります。

年単位はさすがにあまり経験しませんが、数か月、半年などはあり得ます。

それでしたら、この歯は確実にやり直した方がいいという歯のみ治療して、後の歯は数か月ごとのメンテナンス(定期健診)を受けながら、その時、悪化していないかなどをチェックするのが良いと私は考えます。

実際に歯磨きがある程度上手に出来ていて、検診やクリーニングを欠かさない患者さんは、僅かな問題のある程度の詰め物や被せ物は悪化しないことが多いです。

このブログをご覧いただいたている方のお口の中にも、10年前に入れた詰め物や被せ物が入っている方もいらっしゃると思います。

それらが装着当初の状態を維持しているとは思えませんが、大きな問題は起きていないはずです。

まだコロナも収束の見通しが立っていませんので、不要は判断が分かれるとしても、不急の治療はなるべく減らす必要もあると思っています。

以上「なぜ歯医者さんによって言う事が違う?全部やり直し?」でした。

当院では、当院への受診を検討されている方専用のメール相談フォームがございます。

お口のことでお悩みや気になることがある方は、ご利用して頂ければと思います。

院長の私が相談にお応えしています。

メール相談はこちらから↓

https://www.sasayama-dc.com/information/index.html