最近は予防歯科が浸透して、若い人(10代~30代前半)の歯を抜歯することは、ほぼ無くなりました。
虫歯もあるといえばありますが、歯を抜くに至るような崩壊した虫歯は見かけなくなりました。
虫歯治療や抜歯で可能性があるとしたら、歯ブラシが届きにくい親知らずが虫歯になってしまったか、将来の問題に備えて、親知らずをあらかじめ抜歯するくらいです。
それくらい若い世代の方々の歯は良くなりました。
今後歯を失うリスクが高いのは、
今、40~60歳代くらいの方です。
この年代の方も、歯を抜くようなことは、昔と比べて減っていますが、
若い人との違いは、既に治療済みの歯が多いということです。
この年代の方が若い頃には、まだまだ予防歯科は浸透していませんでしたので、成人するまでに虫歯で治療された歯が多いのが特徴です。
お口を拝見すると、白いプラスチックや銀の詰め物、被せ物がある場合が多いです。
同じ歯を4回治療すると抜歯になる可能性が高いといわれています。
1回目は、小さな虫歯を詰め物で治療。
2回目は、その歯の詰め物が外れたり、隙間から虫歯になって治療。
3回目は、神経に到達するような虫歯で、神経を抜いて被せ物をいれる。
4回目は、歯の根の病気が再発したり、歯の根が割れてしまって抜歯に至る。
という流れです。
問題は3回目の神経を抜く治療ですが、この治療をすると、歯の寿命は短くなります。
神経を抜かない虫歯治療
神経を抜いた歯は、根尖病巣といわれる歯の根の病気や、歯根破折といって、歯が割れてしまうことで抜歯になることが多いのですが、神経を抜いてからの期間が長いほど、その問題が起きやすいです。
特に、神経のない歯に、歯ぎしりや噛みしめなど強い力が持続的に加わると、歯根破折を起こしやすくなりますので、神経を抜いた時期が早ければ、早いほど、歯を失うリスクが高くなります。
画像で見る歯根破折
そして、歯を失う可能性が一番高い歯は、どの歯かといいますと
6歳臼歯
です。
下の図、赤マークが6歳臼歯、第一大臼歯とも言われます。
奥から2番目に生えている歯(上の図は親知らずも含んでいるので、上の図では、奥から3番目)で、その名の通りで6歳くらいに生える、最初の永久歯の奥歯です。
この歯を小学生くらいに虫歯で治療してしまうと、その後に何度か治療することで、30~40歳くらいで神経を抜く治療を受け、40~60歳くらいで、前述のような根の問題(根尖病巣・歯根破折)で抜歯に至ることが多いです。
なるべく抜歯に至らないようにするには、
➀長持ちする治療を受けて、次のやり直しまでの期間を出来るだけ延ばす。
➁セルフケアの向上と、定期健診を欠かさない。
の2つが重要です。
30代からは色々と忙しくなり、歯医者さんに行く時間を確保するのが難しい場合もあると思いますが、忙しい中でも、歯の健康のために、セルフケアを頑張ったり、定期検診に来院されている方は、50~60代になっても、歯がしっかり残っている方が多いです。
だんだん良くなる患者さん
人生100年時代といわれ、仕事や子育てを終えた後の人生がとても長くなりました。
やっと落ち着いて、これからは自分の時間も!という時に、
➀歯で困らない。
➁自分の歯で何でも美味しく食べられる。
➂歯の治療費に悩まない。
ためにも、歯の健康について今一度見直してみてはいかがでしょうか?
以上「歯を失うリスクが高い人 抜歯になる可能性が高い歯」でした。
皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院