シリコン入れ歯

暑い日が続きますね。

本日は休診日ですが、ちょっとした改装工事を行うので医院に来ています。

朝からリフォーム業者さんに来ていただき、待っている間に普段できない医院の雑務をおこなっています。

さて,タイトルのシリコン入れ歯についてです。

入れ歯、特に下の歯が一本もない人が使う総入れ歯において応用されることが多いのがシリコン入れ歯です。

下の総入れ歯はケースによっては顎の骨がかなり痩せてしまって、通常の総入れ歯では安定が難しく、「咬むたびに痛い」「外れやすい」「浮いてくる」など症状が現れることがあります。

顎の骨が痩せていると噛む力に対して顎が貧弱なので力を受け止めきれず、痛みが出たり、安定が悪くなるのです。

そこで入れ歯の歯ぐきと接する部分を特殊なシリコンにすることで痛みが出やすい部分に柔らかさを加わえます。そうすると痛みが減り、安定も良くなります。

こちらがシリコン入れ歯です。入れ歯の歯ぐき(ピンク色の部分)に注目してください。 DSC_3081

ピンクの部分の下の方です。ピンクの色が薄くなっている部分がお分かりでしょうか?

この部分がシリコンです。それより上の部分はアクリルという通常の入れ歯の材料で出来ています。

画像のシリコン入れ歯は、今お使いの下の総入れ歯がしょっちゅう痛くなってしっかり噛めないと新規で来院された患者さんに適応したケースです。

入れ歯自体の設計に大きな問題があり、仮の入れ歯を作って、咬み合わせや入れ歯の大きさを改造しながら、痛みがほぼなくなったのを確認してから、シリコン義歯を完成させました。

当院の入れ歯作成の流れについてはこちら↓

https://www.sasayama-dc.com/treatment/ireba.html

完成後、全く痛くないわけではありませんので、数回痛む部分を調整に通っていただきましたが

今では痛みもなく、入れ歯が浮きあがったり、外れることもないそうで喜んでいただけました。

 

 

 

入れ歯のリフォーム

時々患者さんからいただくご質問です。

「入れ歯を作った後に自分の歯が抜けたら、入れ歯は使えなくなるのですか?」

答えはNOです。自分の歯が抜けてしまっても、ほとんどの入れ歯は修理して使えます。

長年入れ歯を使っていると、入れ歯自体が壊れたり、残っている自分の歯が抜ける場合があります。

下の入れ歯は止む無く歯を抜いたケースです。しかし、リフォームすることで何の問題もなく使い続けて頂けています。

リフォーム前

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リフォーム後

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向かって右側の入れ歯の歯の数が増えているのがお分かりでしょうか?

この入れ歯は1週間程お預かりして歯科技工士さんに修理してもらいました。

増設した金属のプレートを蝋着という作業(溶接のような感じです)とレーザーを使って既存の義歯にくっ付けます。

この作業をおこなうことでかなり強固に修理できますので修理した部分が壊れることはほとんどありません。

また壊れ方によってはお預かりしなくても、即日修理できる場合もあります。

インプラントが全盛の昨今では敬遠されがちな入れ歯ですが、きちんと作れば、違和感や痛みも少なく、経年的に変化にも柔軟に対応できる治療方法です。

入れ歯のかみ合わせ・歯並び・歪み

2月も今日で終わりですね。明日から3月です。

2月は例年だとそれほど忙しくないのですが、今年の2月はなぜか忙しかったです。

春が近づいて来ると、時期的にお仕事や学校の関係で転居される患者さんもチラホラいらっしゃって、寂しいです。

転居先でも歯医者の検診は、欠かさないでくださいね。

 

さて話は変わって、今回は入れ歯の噛み合わせと歪みについてです。

入れ歯の咬み合わせや、歯並びが歪んでいるケースがあります。

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上下に入れ歯を入れておられる患者さんです。上の歯は全部入れ歯の歯(総入れ歯)ですが、歯並びが右下がりに傾いているのが分かると思います。

*写真が傾いているわけではありません(^_^;)

上の歯の歯並びは通常、両目の瞳孔を結んだ線に平行に並ぶような平面にします。

このままでも特に見た目が気にならず、不具合も感じなければ良いのですが、やはりこのように歪んだ咬み合わせで入れ歯を使っていると、必ず不具合が出てきます。

この方の場合は偏った咬み癖が常態化し、上の入れ歯が不安定になり外れそうになるので、入れ歯安定剤を使用していたとのことです。

初めて当院に来院された時、上下とも義歯を新しくされることをご希望でしたが、このまますぐには作りません。

まず長年この歪んだ噛み合わせに顎が慣れてしまっているので、この義歯を少しずつ改造修理して、歯並びや咬み合わせを少しずつ修正します。

単に歯並びを直すだけでなく、噛みあわせを高くしたり、入れ歯の床面積を大きくしたり、かなりの手を加えますので日数がかかる治療です。

そして修正した義歯の噛みあわせが、機能的に受け入れられそうなら、その状態から初めて新しい入れ歯を制作します。

大きく噛みあわせを治す場合はこの入れ歯の改造修理という治療工程が欠かせません。

この工程を飛ばしていきなり、理想的な噛み合わせや歯並びの入れ歯を作っても、大抵は「痛くて噛めない、使えない」となります。

治療後です。

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安定剤は一切使わずに、入れ歯を使用できるようになりました。

歯並びの歪みも解消され、とても喜んでいただけました。

治療期間はおよそ3か月です。前の入れ歯に何度も手を加えて、新しい咬み合わせに慣らすのに時間がかかりました。

(ここでちょっと専門的な視点です。術前と術後の写真を比べると、向かって右下のバネがかかっている歯の歯と歯茎の境目。術前は境目の歯ぐきが下がっていて、歯の根っこが茶色く見えています。術後は歯ぐきが少し回復して茶色く見える歯の根っこが少なくなっています。これは、この歯に対する偏った”力”のかかり方が改善されたので、歯ぐきがも元に戻ったのです。)

完成直後は痛む箇所もあり、何度か調整を行いましたが今は何でも食べられるそうです^^

「入れ歯を作るのに3か月?」と思われるかもしれません。

ご年配の方には出来る限り早く新しい入れ歯を作ってあげたいのですが、やはり治療前の問題が大きいとそれなり時間がかかります。

少し時間はかかりますが、最後にしっかりした入れ歯が完成し、患者さんに満足していただければ、それまでの大変さがお互いに報われます。

以上、入れ歯の歪みについてでした。

 

 

 

 

好きな治療

院長です。

春ももうすぐですね。

少し風邪を引いてしまいましたが、ほぼ治りました。あとは花粉対策ですね。もう飛んでいるようで、すでに辛そうな患者さんもいらっしゃいます。

さて、入れ歯の話です。そう、また入れ歯の話です。入れ歯治療が好きなんです(^_^;)

最近は年始から作り始めた精密入れ歯製作ケースのいくつかが、ようやく仕上げ段階に入ってまいりました。

精密入れ歯を作る場合は完成まで1回1時間ぐらいかかる治療が平均7~8回あります。

完成後も数回の調整は必要です。

患者さんは時間と費用の負担がありますが、こちら側は材料の質や材料代を気にせず、時間をあまり気にせず、じっくりと治療に取り組めます。

入れ歯治療は単に数をこなしても上手くなりません。1つ1つのケースを学びながらしっかり着実に行うことでスキルアップします。学べば学ぶほどスキルアップを感じられる治療ですので、昔から入れ歯治療が好きです。ですので製作中のケースが段々完成に近づくのはうれしいのですが、ちょっと寂しい気もします。

若い世代には無縁になりつつある入れ歯ですが、まだまだ入れ歯でお困りの方はいらっしゃると思います。

その方々に喜んでいただける治療を提供できるよう引き続き学んでいきます。

*入れ歯治療だけでなく、セラミックやジルコニアを用いた審美歯科治療も日常的に行っております。入れ歯に限らず、歯が美しくなって喜んでいただくことが大好きなので、そちらもこだわりながら治療しています(^O^)

 

 

 

 

総入れ歯

院長です。

日々知識と技術の習得に努め、目の前の患者さんに満足して頂ける治療結果を出せるように励んでいます。

今回は総入れ歯について書きます。

総入れ歯とは歯が一本もない人が装着する入れ歯です。

歯が一本もないので部分入れ歯のように残っている歯にバネをかけたりすることはできません。

部分入れ歯

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では上あごの総入れ歯はバネをかける歯がなく支えられないのに、どうして外れないのか。

下の図のように上あごの歯茎も覆って、吸盤のように吸い付かせて落ちないようにしています。

総入れ歯

 

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お風呂の壁や台所のシンクに吸盤を付けるようなイメージです。

ただし、入れ歯は入れるだけでなく、食事をするために咬まなければなりませんので、咬む力が加わります。

この時にしっかりと作られていない義歯はその力に負けて吸着がなくなり外れる、もしくは外れそうになります。

吸盤に隙間から空気を入れるとすぐ落下してしまうのと同じです。

会話の時も、上下の歯は当たりますので、その力で会話している時に外れそうになることもあります。

それを防ぐにはどうすればいいか。入れ歯安定剤を塗りつけて使うという方法もありますが、常用すると、かみ合わせが狂ったり、入れ歯が不潔になったりと問題が出てきます。安定剤は一時的なものをお考えいただくのが良いです。

歯のない部分の骨や歯ぐきの状態にもよりますが、入れ歯の型採りやかみ合わせの調整をきちんとおこなえば、安定剤を使わなくても、外れない、外れそうにならない義歯を作ることは可能です。

総入れ歯を安定して咬めるようにするには、知識や技術が大切で、術者によって結果に差がかなり出ます。

毎回の治療ごとに、たくさんのチェックポイントがあり、ひとつづつステップを踏むことが重要で診療時間外の技工作業やシミュレーションが欠かせませんので結構な労力のかかる仕事です。

最近ではめずらしく立て続けに総入れ歯を作ることになり、同時進行で何ケースが治療を始めたのでちょっと大変ですが、

年末のブログに入れ歯の治療を更に充実させると書いたところだったので、良いタイミングでした。

入れ歯作りは歯医者の職人的な部分が発揮される治療ですので、やりがいを感じながら進めています。