子供の歯並び。様子を見ていちゃいけないケース。

院長の笹山です。

歯医者さんでお子さんの歯並びを相談したら、「様子を見ましょう。」と言われたことがある方がいらっしゃると思います。

様子を見ていてもいい場合もあるのですが、様子を見てはいけない、早く何かしらの治療をした方がいいケースもあります。

下の画像をご覧ください。歯並びをご覧になっていかがでしょうか?そんなに問題があるようには見えないと思います。ご自身のお子さんの歯並びがこうだったら「矯正治療したほうがいい。」とは思わないのではないでしょうか?

しかし、このケース、実は早く矯正治療をしないと大変なことになります。

下の画像をご覧ください。

画像右下の丸囲みした銀歯は乳歯なのですが、この歯が抜けた後に、大人の歯が2本並んで生えるスペースが必要なんです。今ある乳歯でも隣同士の歯と接近しているのに、ここに更に大きな大人の歯が2本も生えなければならないんです。スペースが全然足りませんね。放置すると、歯並びが凸凹になるか、歯が生えられず、埋まったままになります。これを様子を見て、解決することは、ほぼありません。

拡大床をいう装置を使って、足りないスペースを広げていきます。

拡大床についてはこちらから↓

子供の歯並び矯正 床矯正・拡大床ってどんな治療?

歯が1本しか並ぶスペースがない部分に、2本分の歯が並ぶスペースを確保するのは結構な時間(年数)がかかります。

2か月に1度、拡大床による矯正治療に通っていただきました。

現在の様子です。6歳臼歯(奥の大きな奥歯)より前の歯は、すべて綺麗に並びました。画面右下の小臼歯2本も綺麗に生え揃いました。今は後戻りしないようにリンガルアーチという針金を入れて保定しています。12歳臼歯が生えるまでこのまま装着しておきます。

このように一見問題がなさそうな歯並びの問題は、保護者の方が気づくことは難しいので、歯医者さんで検診を受ける事で発見されますが、それも診る側にある程度の矯正の知識がないと見落とされる可能性があります。

永久歯が凸凹に生えたり、埋まったままになってからでは、大掛かりな矯正治療が必要となります。

最近は「大人の歯に生え変わるまで様子を見ましょう。」と言われて心配になって来院される方や、高価なマウスピース矯正を勧められてセカンドオピニオンで来院される方が増えています。

当院では拡大床だけでなく、プレオルソやその他の矯正装置も取り扱っています。

インビザラインのようなマウスピース矯正はおこなっていません。

マウスピース矯正をしなくても、出っ歯や受け口、凸凹歯並びを解決できる場合も結構あります。

お子さんの歯並びや噛み合わせで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

インプラントにして良かったです。

院長の笹山です。

先日定期健診にお越しになった女性の患者さんのお話です。

いつもの検診とクリーニングが終わって、エプロンを外す際に

「先生、私インプラントにして良かったです。」と言われました。

3年前に私がインプラント手術をおこなった患者さんです。

この患者さんがインプラントに至った理由は、神経のある歯が縦に割れてしまって、抜歯になったからです。

〇枠の歯の赤矢印の部分に、縦に黒い線が入っているのが、割れてしまった歯の割れ目です。

このように縦に大きく割れてしまった歯は基本的に治療不可能です。

残念ながら抜歯となります。

昔でしたら、歯を抜いた後は両隣の歯を削ってブリッジが一般的です。*下図右側がブリッジ。

ただし、歯が割れるほど強い力がかかる噛み合わせの方には、ブリッジはお勧めできません。

特にこの患者さんの場合、割れてしまった歯の手前の歯の神経が過去に抜かれており、脆くなっているので、ブリッジにすると手前の歯も同じように割れてしまうリスクがあります。

そこでインプラント治療をおこないました。

インプラントにして3年が経過しましたが、今のところ何の問題もありません。

入れ歯をお使いの方に、インプラントを何本か入れて、入れ歯をやめてインプラントで噛めるようになりますと、入れ歯に比べて格段に良く噛めるようになります。

入れ歯だった時の違和感も激減しますので、インプラントの良さを強く実感される患者さんが多いのですが、この患者さんの場合のインプラントは、1本ですので、ブリッジにした場合と比べて、違和感などについては、そこまで差はないと思います。

それでも患者さんは

「何の違和感もないし、普通の歯が生えてきたみたいで、インプラントを入れているという感じが全くないです。」

とおっしゃいました。

もしかしたら、患者さんはインプラントを入れたら、自分の歯とは違う違和感が多少あると思っていたのかもしれません。

私としても、ブリッジ治療を選んで、後に歯を失うリスクを回避出来たことは本当に良かったと思っています。

患者さん「先生、インプラントが良かったから、今度歯が抜けた時もインプラントでお願いします!」

私「そうですね。でもまずは歯が抜けないように、しっかりメンテナンスして予防していきましょう。」

患者さん「確かにそうですね(笑)」

こんな感じでその日の定期健診は終わりました。

当院は入れ歯とインプラントの両方に力を入れています。

入れ歯には入れ歯の良さもありますので、患者さんとご相談しながら治療方針を決めています。

以上「インプラントにして良かったです。」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

自費治療は何年持ちますか?

院長の笹山です。

今回は自費治療についてのお話です。

当院は保険診療がメインのクリニックですが、治療の流れの中で自費治療について説明する機会はあります。

その時多くの患者さんが聞かれるのが、ブログのタイトルにある

「何年くらい持ちますか?」

というご質問です。

色々な種類の自費治療がありますが、今回はセラミックやジルコニア、自費の入れ歯について、どれくらい持つかについてお答えします。(インプラントは含みません。)

インプラントについては、別の機会に書くつもりです。

 

自費治療は保険適応治療と比べて費用がかかりますので、

「どれくらい持つか聞いておきたい。」と思うのは当然だと思います。

その際に私がどう答えているかといいますと、

「保険治療に比べて長持ちするとは思いますが、何年とは言えません。」

とお答えしています。

質問の答えになっていないと言われそうですが、そうしか答えようがないのです。

なぜなら、お口の条件は人それぞれ違うからです。

例えばセラミックの歯を1本入れるにしても、人それぞれです。

・そのセラミックの歯が前歯なのか?奥歯なのか?

・神経はあるのか?ないのか?

・歯周病はあるのか?ないのか?

・今、歯が全部で何本残っているのか?

・嚙み合わせは強いのか?弱いのか?

・虫歯や歯周病のなりやすさは高いのか?低いのか?

・歯ぎしりや食いしばりの癖があるのか?ないのか?

・定期的に検診は受けているのか?いないのか?

・歯磨きは上手なのか?あまり上手じゃないのか?

上記のような様々な因子が関わって、治した歯がどれくらい持つのかが決まります。

また「どれくらい持ちますか?」の質問の解釈も、

「持つ。」というのが、何を指すのかにもよって変わります。

たとえば

① 欠けたり、外れたりするまで。

② 治療した歯が虫歯になるまで。

③ 歯そのものが抜けてしまうまで

などです。

そういうことを考えていくと、「何年持ちます。」とは軽々しく言えないのです。

ただ、患者さんが何年持つか聞いておきたいという気持ちはよく分かりますので、

「少なくとも5年は持ちます。」

とお答えしています。

この5年はどこから出てきた数字かといいますと、

自分の治療結果の蓄積によるものです。

私は医院を先代から引き継いで10年が経ちました。

その間、多くの自費治療をおこなってきました。

10年前におこなった自費治療で今でも普通に機能している歯はたくさんありますが、5年前におこなった自費治療は、まだ5年しか経っていません。

この先どれくらい持つかは、まだそれ以上の年数が経過しなければ分からないのです。

私は自分のおこなった自費治療が何年持つかを把握しておきたいと思っていますので、この10年の自費のカルテはすべて保管しています。

医院を引き継いで10年が経ち、最長10年持っているものもあり、9年前、8年前、7年前…と経過観察しているものもたくさんありますので、間をとって「自分がおこなった自費治療なら5年と言っても差し使えないかな。」と認識しています。

決して5年しか持たないのではなく、まだ結果が出ていないので、そこまでしか言えませんということです。

自分がおこなった自費治療を振り返ると、セラミックやジルコニアなどの被せ物や詰め物に関して、5年持たなかったケースは1%以下と認識しています。

これは私が上手いとか下手だとかそういうことを言いたいのでなく、適切に治療すれば、「極端に硬い物を噛んでしまった。」とか、「定期検診にやクリーニングなどのメンテナンスを全く受けなかった。」などを除けば、普通は5年は持つのではないかという一つの意見です。

自費の入れ歯に関しては、少し違います。

入れ歯はジルコニアやセラミックのような硬い素材ではありませんし、そもそも接着剤で固定して取れなくなる被せ物と、取り外しできる入れ歯は構造が全く違います。

入れ歯は自費でも壊れることもありますし、後で周りの歯が抜けてしまって、修理が必要になることは結構あります。

ただ、修理すれば使えますので、5年で使えなくなった入れ歯というのは、ほぼありません。

根拠もなく「〇年ぐらいは持ちますよ。」というのは伝えるのは何か違う気がしますので「何年持ちますか?」というご質問には、私は自分の治療結果をベースに「少なくとも5年は持ちます。」とお答えしています。

また、私は今までに「セラミックは何年持つ。」という具体的な統計や論文を一度も見たことがありません。最初に書いたように歯がどれくらい持つかは、様々な因子が影響するので、何年持つという統計を出すことは不可能なのです。

ですので私は患者さんに

「自費治療は、今ある歯に対してベストな治療を施すことです。」

とお伝えしています。

「絶対〇年は持ちます。」とはっきりと言えませんが、

それなりの費用を頂くことで、保険治療ではかかってしまう様々な制限が解除されます。

制限とは、

材料や時間、歯を作る歯科技工士さんの技術です。

①保険治療では使えない材料や器具を使うことで、より精度の高い歯を作ることが出来ます。

②保険治療では確保できない治療時間を十分に取ることで、今自分が持っている治療技術を最大限発揮することが出来ます。

当院での自費治療は基本全てDr対応で1時間の治療時間を確保しています。

Dr対応とは、治療の説明はもちろん、歯の色を合わせる写真撮影、仮歯の製作、噛み合わせ採り、歯型採り、完成物の調整と装着、装着後のセメント除去などスタッフに任せず、私自身で全ての過程を3~6倍のルーペで歯を見ながら治療しています。

③歯を作る歯科技工士さんに保険で作る歯の何倍もの制作料をお支払いするので、歯科技工士さんも時間をかけて丁寧に歯を作ることが出来ます。

この3つが長持ちする治療において重要な要素です。

ジルコニアやセラミックや自費の入れ歯の素材や材質が良いことは間違いないのですが、それは自費治療のメリットの一部であり、どちらかといえば、上記のように”制限がない状態”で治療や製作が出来ることの方が、自費治療がどれくらい持つかに影響すると私は考えています。

もちろん患者さんの歯磨きなどのセルフケア、食生活、定期的な検診やクリーニングなども長持ちさせるための大切な要素です。

以上「自費治療は何年持ちますか?」でした。

皆様のお口の健康に少しでも参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

インプラントの結合度を調べる。

院長の笹山です。

今回はインプラントのお話です。

インプラントを手術して埋めた後は、インプラントが骨にくっ付く(結合する)まで、数か月待ちます。

インプラントの種類や手術時の骨の状態にもよりますが、通常手術後3か月程度で骨に結合するといわれており、骨にインプラントが結合することを、専門用語で”オッセオインテグレーション”といいます。

このオッセオインテグレーションが完了したら、インプラントに被せ物を装着するのが通常の流れです。

インプラントが本当に骨にちゃんと結合しているかは、見た目やレントゲン検査だけでは確実とはいえません。

稀にですが、所定の結合期間を待ったにも関わらず、結合が甘い時があります。

結合していると思って、被せ物を装着したら、インプラントがグラグラして抜けてしまうなんて可能性もゼロではありません。

しかし、ちゃんと結合しているか調べるために

「インプラントを引っ張ったり、回そうとしてみたり。」

というような乱暴な刺激は加えることは出来ません。

なぜなら、その行為自体が負荷となり、結合を弱めてしまう可能性があるからです。

インプラントに負荷をかけずに、インプラントの結合度を調べる方法があります。

ISQ値という検査値を、下の画像のような器具で計る方法です。

当院ではOsseo (オッセオ)100+という測定機器を使用しています。

 

 

ISQ値とは↓

ISQ値測定の3ステップ

1. マルチペグをマルチペグドライバーでインプラント体に装着します。

2. Osseo 100+の先端より、磁気パルスを発振。マルチペグとの共振周波数を測定し、安定性を数値で表示します。

3. ISQ値がディスプレイに表示されます。これは、ISQ値の安定性レベル(1~99)を反映しています。ISQ値が高いほど、インプラントの安定性が高いということになります。 (販売元のHPより引用)

 

実際の症例を見てみましょう。

インプラント手術後2か月経った患者さんです。

ヒーリングキャップを外して、インプラントの頭が見えた状態です。

 

インプラントの頭に”マルチペグ”という器具を装着します。

Osseo 100+でISQ値を測定します。

磁気パルスを発振し、マルチペグとの共振周波数を測定します。

インプラントに触れずに計測しますので、インプラントに負荷は全く加わらず、痛みもなく、5秒程度で終わります。

 

ISQ値が出ました。

今回のISQ値は”82”です。

70以上あれば、十分に骨に結合していますので、この計測値なら全く問題ありません。

骨にしっかり結合しているかどうかを、インプラントに負荷をかけずに知ることが出来ました。

何の心配もなく、被せ物を装着する治療に進めます。

当院では、すべてのインプラントに対してこのISQ値を調べ、骨との結合状態を数値化してから、最終の被せ物製作に入ることにしています。

この器具で検査することで、患者さんも私も安心して治療を進めることが出来ます。

以上「インプラントの結合度を調べる。 」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

フルジルコニアで審美歯科治療をおこないました。

院長の笹山です。

時々、患者さんから「先生のところは審美歯科をやってますか?」と聞かれることがあります。

答えは「やっています。」なんですが、なぜそのような質問を受けるのか考えてみました。

「単に聞いてみただけ。」というのもあると思うのですが、もう一つの理由として、どうも審美歯科というとハイセンスな外装・内装の歯科医院でおこなっているというイメージがあるようです。

当院は、赤ちゃんからご年配の方まで、あらゆる世代の人に対応する歯科医院ですので、医院の内外装はカジュアルにしています。

こんな外観の医院ですが、審美歯科もインプラントも普通におこなっています。

実際に患者さんに「普通にやっていますよ。」とお答えすると、患者さんから「あ~そうなんですか。」や「神戸とか大阪の歯医者さんに行かないと出来ない治療かと思ってました。」というお答えが返ってくることがあります。

 

私がおこなった実際の審美歯科治療です。

前歯3本の見た目を綺麗にしたい患者さんです。

before

問題点

①過去に神経抜いた歯が内部から変色している。

クリーニングでは綺麗にならない変色です。

②3本のうち1本は歯並び不正もある。

嚙み合わせが逆になっています。

③歯と歯の間の歯茎が痩せて、歯茎の隙間が黒く見える。

このケースは軽度ですが、もっと隙間が大きくなると不健康なイメージを与えてしまいます。

 

after

おこなった治療。

①治療する歯以外の歯のホワイトニング。

②上の前歯3本のフルジルコニアクラウン。

このケースの場合、更に美しさを追及されるのであれば、歯ぐきの高さのラインを揃える(クラウンレングスニング)、歯茎の黒ずみを取る(ガムピーリング)などオプション治療はありますが、どこまで受けられるかは患者さんと相談して決めています。

ホワイトニングをおこなったことで、お口全体が明るく白くなり、前歯のフルジルコニアも自然の形と色合いで仕上がりました。

また歯と歯の間の歯茎に見られた隙間も無くなりました。

 

審美歯科治療は保険適応外治療です。

治療のアポイントは毎回1時間取り、丁寧な説明と治療をおこなうことを心がけています。

単に白い歯を入れる美容歯科ではなく「お口全体に調和し、天然の歯のような自然観があり、長持ちする」審美歯科治療をおこないます。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院