令和4年歯科疾患実態調査の結果 その2 昭和~平成~令和 虫歯増えた?減った?

院長の笹山です。

引き続き、令和4年歯科疾患実態調査結果について考察していきます。

①う蝕予防に関わるフッ化物応用の経験のある者は、全体の59.4%。

そのうちフッ化物塗布の経験のある者は13.1%、フッ化物洗口の経験のある者は3.2%、フッ化物配合歯磨剤使用の経験のある者は52.4%であった(表5、図5)。

 

フッ化物応用の経験の有無 表5 フッ化物応用の経験の有無(表は厚労省HPより引用)

 

図5 フッ化物応用の経験の有無(グラフは厚労省HPより引用)

中でも1~14歳においては、フッ化物塗布経験者の割合は41.5%であった。前回調査時の結果では、フッ化物塗布の経験のある者は62.5%であったことから、今回は大きく減少する結果となった。

私の感想

子供の虫歯は昭和・平成と比べてかなり減りました。歯科医院でフッ素塗布も普通に皆さんおこなわれています。今回フッ素塗布経験者が、前回調査より、20%以上減ったのはコロナによる歯科医院の受診控えの影響もあるかもしれません。当院でもずっと定期的に通ってフッ素塗布を受けていたお子さんが、コロナの影響で来院が途絶え、数年ぶりに来院することがありますが、虫歯が結構出来てしまっていたケースが結構あります。

 

②定期的なメインテナンスの受診率は6割弱

今回の調査からメインテナンスに関わる項目が新たに追加され、この1年間に歯科検診を受診した者の割合は、全体の58.0%という結果が示された(表9)。

 

表9 歯科検診を受診している者の割合、性・年齢階級別(表は厚労省HPより引用)

 

調査対象の年齢幅が異なるものの、平成21年度に行われた「国民健康・栄養調査」において、20歳以上で過去1年間に歯科検診を受けた者の割合は34.1%。平成24年度では47.8%、平成28年度では52.9%であったことから、年々増加傾向にあることが示唆された(図10)。

 

図10  20 歳以上で過去1年間に歯科検診を受けた者の割合の年次推移(男女計・年齢階級別)(グラフは厚労省HPより引用)

私の感想

定期検診を受ける人の割合が年々増加しているのは非常に良いことだと思います。最近では20~30代の若い方でも、小さい頃から3か月ごとに検診やクリーニングを受けていたという患者さんが増えている実感があります。

皆さんまだ若いので、歯周病があったとしても非常に軽度です。昔から検診を受けて、歯磨きもそこそこのレベルで出来ているので、虫歯もほぼありません。つまり、それほど悪くないのに検診を欠かさないのです。

その患者さんたちの意識としては、「歯を大切にしたいから。」「歯を失いたくないから。」という切実な理由よりも、「子供の頃から3か月に1回行くもの。」という習慣に近いものがあると感じます。つまり美容室や散髪屋さんにいくのと同じレベルの感覚なんだと思います。

過去のブログでも書きましたが、子供の頃からの習慣化、非常に大切です。

こちらも参考にどうぞ↓

お子さんの虫歯予防のコツ 

以上「令和4年歯科疾患実態調査の結果その2」でした。

皆様のお口の健康増進のために参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

令和4年歯科疾患実態調査の結果 昭和~平成~令和 虫歯増えた?減った?

院長の笹山です。

「歯科疾患実態調査」

聞きなれない言葉だと思います。

ざっくり言いますと、国民のお口の状態がどうなのかの統計をとるために国がおこなう調査です。

5年おきに調査されますので、過去と今では国民の歯の健康状態が、良くなっているのか?悪くなっているのか?分かります。

たとえば日本人の虫歯は減ったのか?とか、歯の残っている本数は増えたのか?などです。

先日その結果が、歯科医療従事者向けのサイトで要約されて掲載されました。

色々な項目で調査しているのですが、興味深い、皆様に知っていただくと良いかなと思った項目の結果をピックアップしてみました。

*表や結果はWHITE CROSS様のサイトから引用しています。

①虫歯は5〜34歳では減少傾向を示していたが、55歳以上では増加傾向にあった。

 

表3 5歳以上で永久歯にう歯をもつ者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

私の感想

55歳以上で増加というのは高齢者人口が増えたことと、歯茎が痩せて、露出した歯根に出来る根面カリエスという歯の根の虫歯が関係していると考えます。歯の根は歯の表面のエナメル質と比べて、4分の1程度の硬さしかないので、虫歯になりやすいのです。

根面カリエスについてはこちら↓

大人の虫歯が出来る原因は●●が多かった。

②8020達成者の割合はほぼ横ばい

20歯以上の自分の歯を有する者は、55歳以上において、一部の年齢階級を除いて増加傾向であった(表6、図6)。

 

表6 20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

 

図6 20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

 

80歳で20本以上の歯を有する8020達成者の割合については、75〜84歳の20本以上の歯を有する者の割合から51.6%と推計され、前回調査時の51.2%とほぼ横ばいの結果であった。

私の感想

平成5年では10.9%ですから、30年間で8020を達成した人がおよそ5倍に増えたことは凄いと思います。

私が歯医者になった平成11年でも15.3%です。

この頃はおじいちゃん、おばあちゃんと言えば、入れ歯をしているのが当たり前でした。

卒業したばかりで入れ歯治療の経験が浅かったので、全然上手く治療できなかったことを思い出します。

その経験から、入れ歯だけは絶対に上手くなろうと特に力を入れて、勉強しました。

ちなみに歯は親知らずを除くと、上下合わせて28本あります。

20本あれば、ぎりぎり噛めると言われています。

しかし、やはり28本ある方が断然よく咬めます。

人生100年時代といわれます。

80歳になった後も、人生はそこそこ続きそうです。

その時に平均値である20本でいいのか?

それとも28本の方がいいのか?

ご自身の健康について考えてみたいですね。

③国民のセルフケアへの意識は年々向上している

1歳以上において、毎日ブラッシングする者の割合は97.4%。毎日2回以上ブラッシングする者の割合は年々増加を続けており、今回は79.2%であった(表8、図8)。

表8 1歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(表は厚労省HPより引用)

 

図8 1歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

 

また、デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っている者は全体の50.9%、舌清掃を行っている者は21.1%であった。男女別に見ると、ほぼすべての年代で女性の方が歯間部清掃または舌清掃を行っている者の割合が高く、40〜70代の女性においては6割以上がデンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っているという結果であった(図9)。

 

図9 デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯間部清掃をしている者の割合、性・年齢階級別(グラフは厚労省HPより引用)

前回調査時においては、歯間部清掃を行っている者が全体の39.2%であったことから、以前よりも歯間部清掃の必要性についての認知が広がっていることが伺えた。

私の感想

舌清掃の割合が21.1%は良いことだと思います。

口臭対策に有効な舌清掃をお勧めします。

最近では20代くらいの患者さんでも普通にデンタルフロスなどを使って歯間ケアをしています。

まだ歯間ケアをしていない人は絶対した方がいいです。歯と歯の間は虫歯・歯周病の好発部位です。

こちらも参考にどうぞ↓

歯と歯の間の虫歯は気づくまで時間がかかる

 

歯間ブラシとフロスは両方やった方がいいんですか?

以上「令和4年歯科疾患実態調査の結果」でした。

皆様のお口の健康増進のために参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

令和4年歯科疾患実態調査の結果 その2

ブリッジをやめて歯の喪失リスクを下げる。

院長の笹山です。

インプラントの最も効果的な使い方の1つが、

今あるブリッジをやめて、インプラントに変更することです。

画面右下に古いブリッジが入っています。

レントゲン写真です。

 

このブリッジの1番のリスクは手前側の歯(青矢印)の歯に神経が無く、メタルコアといわれる金属の土台が入っていることです。

いずれ歯根破折を起こして抜歯になる可能性が非常に高いです。

歯根破折についてはこちら↓

歯根破折

神経が無くて、金属のメタルコアが入っているだけでも、歯根破折のリスクがあるのに、その歯をブリッジに使っているので、更に過重負担となります。

ブリッジは上にある歯の本数より、少ない数の歯で支えるという、そもそも歯に過剰な負担をかける治療です。

この場合ですと、3本分の歯があるのに、根は2本しかないという状態で、単純に計算しても1本につき、1.5倍の負荷がかかることになります。

治療の経過です。

ブリッジをやめて、真ん中の元から無い歯の部分にインプラントをおこないました。

これでインプラント前後の歯が抜歯になる可能性が大幅に減りました。

手前側の金属の土台が入った歯は、近いうちにメタルコアを除去してファイバーポストに置き換えて、更に喪失リスクを下げる予定です。

抜歯を防いだファイバーポスト

「歯が無くて困っているが、入れ歯にはしたくない。」

「ブリッジは歯を傷めるのでしたくない。」

「入れ歯をやめて、固定性に歯にしたい。」

これらは患者さんがインプラント治療を選ぶポピュラーな理由です。

しかし、実は今あるブリッジを将来の歯の喪失に備えて、インプラントに変えておくことも非常に意味のある治療です。

歯のクリーニングや歯石取りは、歯を喪失しないための予防です。

ブリッジをインプラントに変えることも、歯を喪失しないための予防です。

ですので、広い意味ではインプラントも歯を失わないための予防治療と言えるかもしれません。

以上「ブリッジをやめて歯の喪失リスクを下げる。」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

ホワイトニング Before&After

院長の笹山です。

最近当院ではホワイトニングを希望される方が多くなっています。

加齢と共に歯は黄色くなる傾向があるのですが、それがエイジングを感じさせる一因となっています。

下の画像をご覧ください。

こちらは「歯の色の違いが見た目にどういう影響があるか。」を説明するために加工された画像ですが、歯の色が与える顔の印象の違いが分かると思います。

10歳くらい年齢の差があるように感じます。

そんな時、手軽で効果の実感しやすいアンチエイジングがホワイトニングです。

ホワイトニングの中でも、1か月で効果を感じられるホームホワイトニング。

マウスピースとジェルでおこなうホームホワイトニング↓

 

歯医者でおこなうオフィスホワイトニングは、その日のうちに歯が白くなりますが、痛みを伴いやすいのと、白くなった歯の色の持続期間がホームホワイトニングと比べて短いです。↓

Dentist applies gel to teeth before teeth whitening procedure. Beautiful girl in safety glasses. Dental And Teeth Whitening Concept.

また、仕上がりの白さもホームホワイトニング比べて、やや不自然です。

「来週、人と会うので白くしたい。」

「結婚式が近いから、ホームホワイトニングでは間に合わない。」

「多少痛くても、その日に白くしたい。」

このような人にオフィスホワイトニングは有効です。

ちなみに当院ではオフィスホワイトニングはおこなっておらず、ホームホワイトニングのみをおこなっています。

1日2時間、ご自宅で好きな時間にセルフでおこなうだけのシンプルなホームホワイトニング。

痛みもほぼなく、歯にダメージもありません。

一度ホームホワイトニングをおこなうと、数年は効果が持続します。

後戻りしてもホワイトニング用のマウスピースを保存しておけば、ジェルのみの追加購入でタッチアップが可能です。

下の画像は、約1か月ホワイトニングされた患者さんです。

before

After

やり過ぎではない、自然な白さに仕上がっています。

歯の色が明るく白くなると、お口回り全体(唇やその周り)も明るく見えるようになります。

日本では20年前に認可され、安全で痛くないホームホワイトニング、おすすめです。

ホワイトニングについてはこちら↓

ホワイトニングいいね

以上「ホワイトニング Before&After」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

子供の歯並び。様子を見ていちゃいけないケース②

院長の笹山です。

お子さんの歯並びで様子をみていちゃいけないケース。

その②です。

反対咬合です。

本来の噛み合わせとは、逆に歯が並んでしまうことです。

通常の下の前歯は、上の前歯の内側に生えます。

下の画像をご覧ください。向かって右下の前歯が上の前歯の外側にあります。左隣の歯は、これから生えますが、同じく反対咬合になります。このまま放置すると、いわゆる受け口になります。永久歯の反対咬合が、自然に治ることはありません。

横から見ると反対咬合がはっきり分かります。下の歯が上の歯の外側にあります。

 

治療後です。↓

横から見たところです。上の歯が外側にあり、改善しています。

プレオルソという矯正装置で治療しました。

プレオルソについてはこちら↓

当院のプレオルソ治療の特徴

 

当院HPのプレオルソ紹介ページ↓

https://www.sasayama-dc.com/treatment/preortho.html

 

お子さんの歯並びや噛み合わせで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院