定期検診を受けているのに歯が悪くなる理由

「歯に自信がなくて、毎月歯医者で検診を受けてクリーニングしてもらっていたけれど、年々歯が弱っていき、数年おきに歯が抜けていき、この先どうなってしまうのか不安で…。」

長年同じ歯医者に通われていたのですが、上記のような不安を感じて当院に転院された患者さんの話です。

お口を拝見すると、元々治療した歯が多く、神経を抜いてある歯も多いです。

既に治療された歯は、年々弱くなっていく部分もあるので、そこはある程度仕方ないと思います。

しかし、歯ブラシや歯間ブラシなどの使用状況をお聞きすると、歯科医院で教わったことがなく、自己流でされていたそうです。

根本的な治療を受けず、セルフケアも教わっていないという状況でした。

失った過去を取り戻すことはできません。

歯が弱い人は、その場しのぎの治療を受けても、また数年後に悪くなります。

悪くなった時に、治療しても、数年前と同じように元通りにはならず、歯の寿命は、更に短くなります。

例えば、被せ物の中が虫歯になってしまって、虫歯を削り取って、再度被せ物を入れたとします。

新しい被せ物が入れば、見た目は元通りになります。

しかし、虫歯を削った分、歯は小さくなり、強度は減り、脆くなります。

やり直し≠元通り

ではないんです。

ですので、

やり直す回数を減らすことも大事な予防です。

最近では、

予防=検診・クリーニング

と、誤解されている風潮があります。

たしかに検診とクリーニングは、予防の大きな柱です。

虫歯がほとんどない、歯周病もほぼない人にとっては、それで十分かもしれません。

しかし、既に治療跡が多く、歯が強くない人にとっては、それだけでは不十分です。

歯を根本的に治さずに、検診とクリーニングだけを受けても、歯は年々悪くなる傾向にあります。

最近の若い世代、特に30代くらいまでの人達の虫歯は減りました。

しかし昭和世代の方々は、まだまだ過去に治療された歯が悪くなることで苦労をされています。

今回のお話のように、検診とクリーニングを数か月おきに受けているにも関わらず、歯を失い続けている人がかなり多いと感じます。

当院の提案する予防歯科は、

①定期的な検診とクリーニング

②患者さんへの予防の啓蒙

③セルフケアの向上

④なるべくやり直さない治療の提供

です。

歯を大切にしたい人、歯で苦労されている人に

「ここに来てよかった、報われた。」

と思って頂ける歯科医院を目指しています。

以上「定期検診を受けているのに歯が悪くなる理由」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

インプラントの失敗

院長の笹山です。

インプラントの失敗。

歯科医も患者さんも出来れば経験したくないことですね。

失敗といっても色々な失敗があるのですが、

ここでは、

「インプラント手術後にインプラントが骨にくっつかなかった。」

について説明します。

通常インプラントは、術後約3か月程度で骨に結合します。

結合のプロセスについてはこちら↓

インプラントの結合度を調べる。

インプラントが骨に結合しましたら、インプラントの上に被せ物を付けるのですが、その前にインプラントが抜けてしまうことがあります。

つまり骨に結合しなかったということです。

結合しないのには、色々な原因があるのですが、

インプラントを入れた時に、

インプラントが骨に固定されずに、緩すぎる状態で入ってしまった場合や、

逆に骨にかなりの力で入れてしまった場合に起こります。

例えますと、

木の板にネジを入れる時に、

ネジがユルユルで入ってしまった場合と、

板にヒビが入るくらいの強い力でネジを入れた場合です。

緩すぎると抜けますし、きつ過ぎると周りにダメージが加わってしまうのです。

また、インプラントを入れる際の冷却が足りなくて、骨が火傷を起こしてしまった場合などにも、インプラントがくっ付かなくなるといわれています。

インプラントはドリルで骨に穴を開けるので、ドリルが高温になって骨が火傷を起こさないように、常に冷えた生理食塩水を注水してドリルを冷やしているのですが、骨の深い位置にインプラント入れる場合は、その冷却が届きにくい場合があります。

下図の赤矢印部分がドリルに注水して冷却している様子。

*日本歯科医師会HPより引用

他の原因では、インプラントを入れる骨自体の質が、そもそも良くなかったいうこともあります。

手術に完璧はないのですが、これらリスクは術者が気を付けることで基本的には回避できます。

これらの問題がなくても、稀に原因不明でインプラントが結合しない場合もありますので、失敗というのは少し厳しい言い方かもしれません。

インプラントが初期の段階で抜けてしまった場合に

「自分の骨にはインプラントが合わないのかな…。」

と思われるかもしれませんが、

再手術すれば、問題なくインプラントがくっ付く場合が多いです。

なぜなら一度インプラントを埋めるために開けた穴は、新しく綺麗な骨で埋まるからです。

ですので、インプラントが上手く結合しなくても、

再手術という精神的・肉体的な負担はありますが、もう一度手術を受ける価値はあると思います。

以上「インプラントの失敗」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

 

初認可のホワイトニング 動画あり

先日、歯科材料屋さんから

「こんなホワイトニング剤がでましたよ。」

とパンフレットを頂きました。

新発売のホワイトニングジェルについての案内だったのですが、

パンフレットのジェルの表記を見て、ちょっと驚きました。

ジェルの濃度が16%と書いてあったからです。

日本で認可されているホームホワイトニングジェルの濃度は10%です。

これは20年以上前に日本でホームホワイトニングが認可されて以来ずっと変わらなかったことです。

海外から個人輸入すれば、もっと濃い濃度のジェルもあるのですが、自己責任になります。

高濃度ジェルの過去記事はこちら↓

高濃度ホワイトニングジェル

濃度の表記が気になったので、メーカーに問い合わせてみたところ、16%は最近認可されたそうです。

最近、当院でもホワイトニングを受けられる患者さんが多いので、自分の歯も久々にホワイトニングしてみようと思い、早速16%のジェルを購入してみました。

新発売のキャンペーン価格で少しお得に購入したアンジェラスホームジェル

 

ジェルのシリンジ↓

 

メーカーの患者さん向けホワイトニング説明動画↓ 音量注意♪

 

まずは2週間やってみます!

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

 

インプラントなんか体に入れて大丈夫なんですか?

インプラントの説明時に患者さんからよく聞かれる質問の1つです。

「インプラントみたいな金属を体に入れて大丈夫なんですか?」

金属を骨に入れたままにして、体に異常が起きないかとか、金属は錆びたりしないかと、体に安全かどうかの不安だと思います。

体に悪影響はないかという点においては、

「大丈夫です。」

といえます。

大丈夫な理由を説明していきます。

皆さん、骨折した時にプレートで骨を固定することがあるってご存じですか?(ご存じない方は、「骨折 プレート」でネット検索してみてください。)

骨折した部分を金属製のプレートでつなぎ合わせて、金属製のボルトでしっかり固定することにより、骨がくっつきやすくなります。

昔はそういう方法がなかったので、ギブスでグルグル巻きにして、自然にくっつくのを待ってたんですよね。

私も子供の頃に腕を骨折して、石膏に浸したガーゼで腕が倍の太さになるくらいのギブスをつけました。夏だったので、中が蒸れて、痒くて辛かったのを覚えています。

話を戻します。

そのプレートはチタンという金属で出来ています。

プレートを固定するボルトもチタンで出来ています。

チタンは骨に入れても、腐食したり、アレルギーを起こしにくい素材です。

ちなみに骨折が治った後も、プレートを外さないで入れたままでも、基本的に害はありません。*入れた場所によっては、取り出すこともあります。

それを取り出すには、また皮膚を切って手術しなければならないので、「せっかく骨が治ったのに、また手術するの?」ってなりますよね。

骨にずっと入れっぱなしでも問題が起きにくい金属材料、それがチタンです。

そこからヒントを得て、だったら、「歯の根っこの代わりに使えるんじゃない?」

と始まったのが、現代のチタン製インプラントです。

 

インプラントはネジの形をしています。

Dental implant isolated on white background

釘のようにツルツルの表面ではなく、ネジの形をしているのは、骨に入れる時に、骨に食い込ませて固定を良くするためです。

それと、ネジのように凸凹している方が、骨との接触面積が大きくなり、くっつきが強固になるからです。

インプラントは一度骨にくっ付くと、反対回しに回しても抜けません。

普通のネジはドライバーで逆回転したら抜けますね。

チタン製のインプラントは単に骨に食い込んでいるだけでなく、オッセオインテグレーションという形で骨と結合します。

「じゃあ、どうやっても抜けないの?」

というわけでもなく、かなりの力を逆回転で加えると、周りの骨が壊れながら、外れます。

しかし、日常生活の食事などで加わる力では抜けません。

ということで、チタン製インプラントは長期間、骨に入れても大丈夫であり、体に安全な治療といえます。

ただし、チタンも金属ですので金属アレルギーの可能性がないわけではありません。

実際にインプラントをおこなった患者さんにチタンアレルギーの検査をおこなったところ、アレルギー性陽性の反応が出る方が稀にいらっしゃるようです。

しかし、陽性の検査結果が出ても臨床的なアレルギー症状はほとんどないそうです。

ですので、心配な方は手術前にチタンアレルギーのパッチテストを受けられるといいと思います。

以上「インプラントなんか体に入れて大丈夫なんですか?」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

親知らずを抜歯するリスクアセスメント

スタッフが「親知らずが痛いんです。」と言ってきました。

お口を見てみると、親知らずは生えていません。赤丸部分に歯ぐきの下に埋まっているようです。

 

レントゲン写真を撮影しました。 親知らずは、横に向いて埋まっています。

 

精査のためにCTレントゲン写真を撮影しました。 左下の親知らずは、ほとんどが骨に埋まっています。

 

 

更に詳細を分析します。

赤いチューブのような線は、下顎管といわれる動脈と神経で、親知らずの根の先と、かなり距離が近いです。

 

CTの角度を変えて、親知らずと下顎管の距離を計測します。

その距離、およそ2.3mm

ここまで下顎管との距離が近いと、親知らずを抜く際に、神経や動脈を損傷するリスクがあります。

神経を損傷すれば、麻痺が残る可能性がありますし、

動脈を損傷すれば、大量出血の可能性があります。

この親知らずの場合は、そこまでの超ハイリスクではないのですが、

親知らずのほとんどが骨に埋まっていることなど総合的に判断すると

「うちで簡単に抜けるよ。」とは言えないレベルです。

餅は餅屋。

外科のスペシャリストである口腔外科医に依頼することにしました。

本人も口腔外科に行ったことがないので、かかってみたいとのことでした。

親知らずの抜歯をされるのは、歯科衛生士としていい経験になると思います。

いつもインプラントや抜歯などの外科アシストについてもらっていますが、自分がされると、色々と分かることがあると思います。

無事を祈っています!

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院