入れ歯のかみ合わせ・歯並び・歪み

2月も今日で終わりですね。明日から3月です。

2月は例年だとそれほど忙しくないのですが、今年の2月はなぜか忙しかったです。

春が近づいて来ると、時期的にお仕事や学校の関係で転居される患者さんもチラホラいらっしゃって、寂しいです。

転居先でも歯医者の検診は、欠かさないでくださいね。

 

さて話は変わって、今回は入れ歯の噛み合わせと歪みについてです。

入れ歯の咬み合わせや、歯並びが歪んでいるケースがあります。

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上下に入れ歯を入れておられる患者さんです。上の歯は全部入れ歯の歯(総入れ歯)ですが、歯並びが右下がりに傾いているのが分かると思います。

*写真が傾いているわけではありません(^_^;)

上の歯の歯並びは通常、両目の瞳孔を結んだ線に平行に並ぶような平面にします。

このままでも特に見た目が気にならず、不具合も感じなければ良いのですが、やはりこのように歪んだ咬み合わせで入れ歯を使っていると、必ず不具合が出てきます。

この方の場合は偏った咬み癖が常態化し、上の入れ歯が不安定になり外れそうになるので、入れ歯安定剤を使用していたとのことです。

初めて当院に来院された時、上下とも義歯を新しくされることをご希望でしたが、このまますぐには作りません。

まず長年この歪んだ噛み合わせに顎が慣れてしまっているので、この義歯を少しずつ改造修理して、歯並びや咬み合わせを少しずつ修正します。

単に歯並びを直すだけでなく、噛みあわせを高くしたり、入れ歯の床面積を大きくしたり、かなりの手を加えますので日数がかかる治療です。

そして修正した義歯の噛みあわせが、機能的に受け入れられそうなら、その状態から初めて新しい入れ歯を制作します。

大きく噛みあわせを治す場合はこの入れ歯の改造修理という治療工程が欠かせません。

この工程を飛ばしていきなり、理想的な噛み合わせや歯並びの入れ歯を作っても、大抵は「痛くて噛めない、使えない」となります。

治療後です。

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安定剤は一切使わずに、入れ歯を使用できるようになりました。

歯並びの歪みも解消され、とても喜んでいただけました。

治療期間はおよそ3か月です。前の入れ歯に何度も手を加えて、新しい咬み合わせに慣らすのに時間がかかりました。

(ここでちょっと専門的な視点です。術前と術後の写真を比べると、向かって右下のバネがかかっている歯の歯と歯茎の境目。術前は境目の歯ぐきが下がっていて、歯の根っこが茶色く見えています。術後は歯ぐきが少し回復して茶色く見える歯の根っこが少なくなっています。これは、この歯に対する偏った”力”のかかり方が改善されたので、歯ぐきがも元に戻ったのです。)

完成直後は痛む箇所もあり、何度か調整を行いましたが今は何でも食べられるそうです^^

「入れ歯を作るのに3か月?」と思われるかもしれません。

ご年配の方には出来る限り早く新しい入れ歯を作ってあげたいのですが、やはり治療前の問題が大きいとそれなり時間がかかります。

少し時間はかかりますが、最後にしっかりした入れ歯が完成し、患者さんに満足していただければ、それまでの大変さがお互いに報われます。

以上、入れ歯の歪みについてでした。