入れ歯をやめてインプラントにする患者さんのケースです。
画面左側に部分入れ歯が入っています。入れ歯の違和感が強く、食事の時は、ほとんど反対側の入れ歯ではない歯で噛んでいるそうです。
入れ歯を外すと、こんな感じです。このまま入れ歯を使い続けると、画面左下の銀歯が折れるリスクがあります。
治療する場所のレントゲン写真。
インプラントを入れる時には、隣の天然の歯との距離、インプラント同士の距離に、最低必要な数値が決まっています。
インプラントと天然の歯の間は、最低1.5mmの距離が必要です。
インプラントとインプラントの間は、最低3.0mmの距離が必要です。
この距離を侵すと、隣の天然の歯にダメージを与える可能性や、入れたインプラントが長持ちしないリスクがあります。
今回のようなケースで、距離のルールを守りながら、2本のインプラント入れることは、そう簡単ではありません。
1本目のインプラントが、左右どちらかにずれて入ってしまうと、2本目のインプラントとの距離のルールを守るのが、難しくなります。
例えるなら、
2台ギリギリ入るぐらいの場所に、2台の縦列駐車をおこなう感じです。
どちらか1台が変な方向に停めてしまうと、もう一台が停めにくくなるか、最悪停められない状態になります。
そこで、ここに入れたいという位置に確実にインプラントが入るように、
ガイド
というものを作ります。
まずは、院内でCTレントゲンを撮影をし、ガイド製作会社にCTデータを送信し、シミュレーションソフト用に変換してもらいます。
私がPC上で、骨や血管・神経を確認しながら、2本が丁度よく安全な位置に入るようにガイドの設計をおこないます。
出来上がって納品されたガイド↓
手術より前の日にお越し頂き、ガイドの適合に問題がないかを確認します。
画面左側に2つの穴があるのが分かりますでしょうか?
この2つの穴に、ドリルを入れることで、入れる位置がずれないようにします。
ガイドを使うことで、計画した位置にインプラントが入れやすくなりますが、どんなものでも、完璧はないので、手術途中で方向に問題がないか、レントゲン写真を撮影して、確認します。
無事、計画した位置にインプラントを入れることが出来ました。
最終の被せ物は入った時の確認レントゲン写真です。画面右の銀歯も問題がある歯でしたので、この機会に治療しました。
術前
術後 部分入れ歯がなくなり、固定性の歯になりました。
すべてのインプラント手術にガイドが必要なわけでありませんが、ここぞという時には頼りになるのがガイドです。
ガイドにも色々な種類があり、
① 左右前後の位置だけをガイドするもの。
② 左右前後の位置だけでなく、インプラントを入れる深さ(垂直的)までガイドするもの。
③ ①②に加えて、事前に計画した太さや長さのインプラントが入るガイド。
ガイドのグレードを上げると、より早く安全に手術が出来ます。
しかし、ガイドが使いづらいケースや、ガイドだけではカバーできないケースもありますので、ケースに応じて、ガイドの有り無しや、使う場合は目的に応じたグレードのガイドを選ぶ必要があります。
以上「インプラントのルール」でした。
皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院