インプラントの説明時に患者さんからよく聞かれる質問の1つです。
「インプラントみたいな金属を体に入れて大丈夫なんですか?」
金属を骨に入れたままにして、体に異常が起きないかとか、金属は錆びたりしないかと、体に安全かどうかの不安だと思います。
体に悪影響はないかという点においては、
「大丈夫です。」
といえます。
大丈夫な理由を説明していきます。
皆さん、骨折した時にプレートで骨を固定することがあるってご存じですか?(ご存じない方は、「骨折 プレート」でネット検索してみてください。)
骨折した部分を金属製のプレートでつなぎ合わせて、金属製のボルトでしっかり固定することにより、骨がくっつきやすくなります。
昔はそういう方法がなかったので、ギブスでグルグル巻きにして、自然にくっつくのを待ってたんですよね。
私も子供の頃に腕を骨折して、石膏に浸したガーゼで腕が倍の太さになるくらいのギブスをつけました。夏だったので、中が蒸れて、痒くて辛かったのを覚えています。
話を戻します。
そのプレートはチタンという金属で出来ています。
プレートを固定するボルトもチタンで出来ています。
チタンは骨に入れても、腐食したり、アレルギーを起こしにくい素材です。
ちなみに骨折が治った後も、プレートを外さないで入れたままでも、基本的に害はありません。*入れた場所によっては、取り出すこともあります。
それを取り出すには、また皮膚を切って手術しなければならないので、「せっかく骨が治ったのに、また手術するの?」ってなりますよね。
骨にずっと入れっぱなしでも問題が起きにくい金属材料、それがチタンです。
そこからヒントを得て、だったら、「歯の根っこの代わりに使えるんじゃない?」
と始まったのが、現代のチタン製インプラントです。
インプラントはネジの形をしています。
釘のようにツルツルの表面ではなく、ネジの形をしているのは、骨に入れる時に、骨に食い込ませて固定を良くするためです。
それと、ネジのように凸凹している方が、骨との接触面積が大きくなり、くっつきが強固になるからです。
インプラントは一度骨にくっ付くと、反対回しに回しても抜けません。
普通のネジはドライバーで逆回転したら抜けますね。
チタン製のインプラントは単に骨に食い込んでいるだけでなく、オッセオインテグレーションという形で骨と結合します。
「じゃあ、どうやっても抜けないの?」
というわけでもなく、かなりの力を逆回転で加えると、周りの骨が壊れながら、外れます。
しかし、日常生活の食事などで加わる力では抜けません。
ということで、チタン製インプラントは長期間、骨に入れても大丈夫であり、体に安全な治療といえます。
ただし、チタンも金属ですので金属アレルギーの可能性がないわけではありません。
実際にインプラントをおこなった患者さんにチタンアレルギーの検査をおこなったところ、アレルギー性陽性の反応が出る方が稀にいらっしゃるようです。
しかし、陽性の検査結果が出ても臨床的なアレルギー症状はほとんどないそうです。
ですので、心配な方は手術前にチタンアレルギーのパッチテストを受けられるといいと思います。
以上「インプラントなんか体に入れて大丈夫なんですか?」でした。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院