院長の笹山です。
今回はインプラントのお話です。
インプラントを手術して埋めた後は、インプラントが骨にくっ付く(結合する)まで、数か月待ちます。
インプラントの種類や手術時の骨の状態にもよりますが、通常手術後3か月程度で骨に結合するといわれており、骨にインプラントが結合することを、専門用語で”オッセオインテグレーション”といいます。
このオッセオインテグレーションが完了したら、インプラントに被せ物を装着するのが通常の流れです。
インプラントが本当に骨にちゃんと結合しているかは、見た目やレントゲン検査だけでは確実とはいえません。
稀にですが、所定の結合期間を待ったにも関わらず、結合が甘い時があります。
結合していると思って、被せ物を装着したら、インプラントがグラグラして抜けてしまうなんて可能性もゼロではありません。
しかし、ちゃんと結合しているか調べるために
「インプラントを引っ張ったり、回そうとしてみたり。」
というような乱暴な刺激は加えることは出来ません。
なぜなら、その行為自体が負荷となり、結合を弱めてしまう可能性があるからです。
インプラントに負荷をかけずに、インプラントの結合度を調べる方法があります。
ISQ値という検査値を、下の画像のような器具で計る方法です。
当院ではOsseo (オッセオ)100+という測定機器を使用しています。
ISQ値とは↓
ISQ値測定の3ステップ
1. マルチペグをマルチペグドライバーでインプラント体に装着します。
2. Osseo 100+の先端より、磁気パルスを発振。マルチペグとの共振周波数を測定し、安定性を数値で表示します。
3. ISQ値がディスプレイに表示されます。これは、ISQ値の安定性レベル(1~99)を反映しています。ISQ値が高いほど、インプラントの安定性が高いということになります。 (販売元のHPより引用)
実際の症例を見てみましょう。
インプラント手術後2か月経った患者さんです。
ヒーリングキャップを外して、インプラントの頭が見えた状態です。
インプラントの頭に”マルチペグ”という器具を装着します。
Osseo 100+でISQ値を測定します。
磁気パルスを発振し、マルチペグとの共振周波数を測定します。
インプラントに触れずに計測しますので、インプラントに負荷は全く加わらず、痛みもなく、5秒程度で終わります。
ISQ値が出ました。
今回のISQ値は”82”です。
70以上あれば、十分に骨に結合していますので、この計測値なら全く問題ありません。
骨にしっかり結合しているかどうかを、インプラントに負荷をかけずに知ることが出来ました。
何の心配もなく、被せ物を装着する治療に進めます。
当院では、すべてのインプラントに対してこのISQ値を調べ、骨との結合状態を数値化してから、最終の被せ物製作に入ることにしています。
この器具で検査することで、患者さんも私も安心して治療を進めることが出来ます。
以上「インプラントの結合度を調べる。 」でした。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院