院長の笹山です。
今年も細々とブログを書いていきます。
今回は患者さんにご指摘いただき改善したことの話です。
いきなり話は変わりますが、私は去年から、ほぼ全ての治療においてメガネタイプのルーペ(拡大鏡)を装着して治療しています。
こんな感じです↓
ルーペを装着すると、歯やお口が拡大して見えますので、正確な診断や精度の高い治療が可能となります。
たとえば、ルーペを使うと、歯がよく見えるので虫歯が発見しやすくなり、虫歯を治療する時も健康な歯を削らずに虫歯だけを綺麗に取りきることが出来ます。
小さな穴の虫歯を削ると、神経ギリギリまで到達する虫歯だったケース↓
ルーペは今までも要所要所で使っていたのですが、去年からは例外を除いてほぼ全ての治療に使っています。
その理由は…
実は私が担当した患者さんから、歯石を取り残していたことをご指摘いただいたことがありました。
確認させていただいたところ、確かに取り残しがありました。
私は元々目が良いほうで、普段は裸眼で過ごせるくらいですので、歯石取りに関してはルーペをほとんど使っていませんでした。
自分の視力を過信していたのだと思います。
やはりこういうことではいけないと思い、歯石取りにもルーペを使うようにしました。
それからは、一部の治療だけでなく、被せ物の調整や、歯型採りなど、今まで使用しなかった治療においても、使用するようになり、結局ほぼ全ての治療に使うようになりました。
使用頻度がどんどん増えた理由としては、やはりどのような治療においてもルーペの方が良く見えると実感したからです。
3年くらい前まではルーペを長時間使うと、頭がクラクラしたり、目が痛くなったりすることがあったのですが、今はその時と同じルーペを使っても、そんなことはありません。
やはり「もうルーペを使わないとダメだよ。」ということなんだと思います。
実は、年配の歯医者さんの引退理由で意外と多いのが
「目が良く見えなくなった。」
なんです。
人間ですので、視力も年と共に衰えていきます。日常生活での視力に問題はないのですが、歯医者の仕事は、数ミリ単位、細かくはミクロン単位の仕事です。
元々、光が届きにくく、暗く狭いお口の中で「良く見えない。」というのは歯科医にとって致命的なことです。
「見えなくなる」という、キャリアを積んだ歯科医なら誰もが直面する問題をルーペで補うことが可能な時代になりました。
更に高倍率のルーペを使用すれば、”補う”以上の効果があります。
高倍率ルーペは肉眼では見えないものを見ることが出来ます。
そこで新たに高倍率のルーペも導入しました。
カールツァイスという一眼レフやビデオカメラ、双眼鏡に使用されるレンズメーカーのルーペで倍率は8倍です。
もはやルーペといいますか、メガネに双眼鏡をつけたような外観になっています。
レンズ部にかなり重みがありますので、ただメガネをかけるように装着しただけですと、鼻の下にずり落ちるので、後ろの紐でしっかり後頭部に固定し、耳の後ろにゴム製の引っ掛けをつけなければなりません。
こちらの8倍モデルは今は製造中止になっており、特注でも5倍までしか販売していません。
その理由は、倍率の高いルーペは扱いが難しく需要が無いからだそうです。
なぜ高倍率のルーペだと扱いが難しくなるかといいますと、倍率が上がると、よく見えるようになる反面、ピントの合う範囲が狭くなります。
この8倍ルーペではピントの合う範囲は1㎝ぐらいなので、術者の顔が少し動くとピントが合わなくなり、視野がぼやけます。そんな感じですので、使いこなすには結構な訓練が必要そうです。
ですので、こちらのルーペは、今のところ、従来のルーペでは確認しづらい部分を確認するために使用しています。
たとえば、歯のヒビの有無や、細かい虫歯の取り残しの有無、歯の根の治療の際の根管の確認など肉眼では確認しづらい部分です。
この8倍のルーペのレンズを通して歯を見ると、どんな感じに見えるかといいますと、1本の歯は岩のようにそびえ立って見え、肉眼では見えない歯の凹凸や細かい溝など表面性状が見え、歯ぐきをみると、細かい毛細血管まではっきり見えます。
とにかく良く見えます。
少しずつこちらの8倍ルーペの使用頻度も増やして、より良い診断や治療に繋げられるようにしたいと思います。
以上「患者さんにご指摘いただき改善したこと」でした。
今回もご覧いただきありがとうございました。