院長の笹山です。
以前こんなブログを書きました。
上のブログ記事の最後に書いた、
”では「これは通常の根の治療では治らないな。」と診断した場合、その次はどうするのでしょうか?
抜歯しかないのでしょうか?
これについてはまた別の機会にUP予定です。”
の続きが今回のブログです。
歯の根の治療をおこなっても、治りが悪い場合があります。
このケースは2度ほど歯の根の治療をおこなったのにも関わらず、完治しなかったケースです。
根っこの先に膿が溜まる病気が歯の根の治療だけでは治らない場合は、外科的に歯の根の先を少しカットするのと同時に、根の先に出来た膿の袋を取る場合があります。
根の先をカットすること歯根端切除術といい、
膿の袋を取ることを歯根嚢胞摘出術といいます。
また、再び膿の袋が出来ないように、根の先端をカットした断面に薬をつけることを逆根管充填といいます。
先日、その手術をおこないました。
CTで病巣の立体像を把握して、手術プランを決めます。
術前の状態
術中
縫合終了時
手術は局所麻酔で麻酔から縫合まで含めても1時間以内に終わります。
膿の袋の大きさなどによりますが、1週間程度は少し腫れます。
手術の痛みや術後の痛みはほとんどありません。
通常歯の根の治療は4回程度で終わります。回数や期間をかければ、治るものではないので、いたずらに長引かせず、治らない場合は外科治療も選択肢に入れて治療しています。
ただし、どんな歯でも出来る治療ではなく、大臼歯といわれる一部の奥歯や、太い神経や血管に近い歯は手術リスクが高いので、適応外です。
また手術中に骨の中の歯の根を直接観察した時に、歯の根に亀裂が見られる場合(歯根破折といいます。)があります。
歯根破折は治らないので、抜歯適応です。
こういう可能性もあるので、術前に歯根破折だった場合は抜歯までするか、それとも破折部分はそのままにして、手術を終了するか事前に患者さんに確認しておくことも必要です。
今回は幸い破折は確認されませんでしたので、順調に治っていくと思われます。
患者さん、大変お疲れさまでした。
以上「歯の根の手術をおこないました。」でした。