院長の笹山です。
今回は”痛くない入れ歯”のお話です。
今は昔と違って、歯科材料の進化が目覚ましく「入れ歯が痛くて噛めない」と悩みをほぼ解決できるようになりました。
その解決方法の代表格が、今回お話しするシリコン入れ歯です。
シリコン入れ歯は、入れ歯の歯ぐきに触れる部分を従来の硬いプラスチックではなく、柔らかいシリコンにすることで痛みがなくなります。
実際のシリコン入れ歯。黒ラインより上側のピンク部分がシリコンです↓
入れ歯の痛みが取れない原因は、いくつもあり、シリコン入れ歯でなくても解決できる場合もあるのですが、普通の入れ歯ではどうしても解決出来ない原因がある場合があります。
それは…
高度な顎堤の吸収です。
どういうことかといいますと、入れ歯を乗せる歯ぐきの下の顎の骨(土手)が、極端に痩せ細っている場合です。
「骨が痩せている。」って、どういうことなのかを2枚のレントゲン写真で説明しますね。
まずは、
歯が一本も無いけれど、しっかり骨が残っている方のレントゲン↓
次に、
歯が一本も無く、骨も極度に痩せている方のレントゲン↓
矢印の部分は下あごの骨ですが、2枚のレントゲン写真を比べると骨の高さ(厚み)に違いがあるのが分かりますでしょうか?
このような骨の痩せ方は、歯周病で歯を失った女性に特に多いです。
歯周病は歯の周囲の歯ぐきと骨が痩せて、歯を支えられなくなり、歯が抜けてしまう病気ですので、歯が抜ける頃には、周りの歯ぐきや骨も道連れになって一緒に失ってしまいます。特に女性は元々顎の骨が華奢ですので、歯周病で歯を失うと、その影響が大きいのです。
当院でシリコン入れ歯を装着した患者さんの90%以上は女性です。
極端に痩せてしまった歯ぐきの上に、硬いプラスティックの入れ歯を入れても痛くて噛めません。シリコン入れ歯が無い頃は、入れ歯を大きくする方法でなんとか凌いでいました。つまり、入れ歯の歯ぐきを触れる面積を大きくすることで歯ぐきにかかる負担を広く分散するということです。
しかし入れ歯が大きくなると、口の中が入れ歯に占領されたような感じになり、違和感が大きくなってしまうのです。
シリコン入れ歯の場合は、入れ歯の大きさもそこまで大きくする必要はなく、痛くない上に、違和感も少なくなります。
その他にも以下のようなメリットがあります。
☆ピッタリフィットで動かない。シリコン入れ歯は適度な柔らかさがあり、入れ歯が乗っかる歯ぐきの形に沿って変形してくれるので、ピッタリフィットします。フィットすることで、入れ歯が食事中に動いたりすることが、ほとんどなく、しっかりとした噛み心地を得られます。
☆メンテナンスすれば長く使える。シリコンの耐用年数は3年程度と言われています。劣化が進んだ場合でも、入れ歯の本体の作り直しではなく、シリコン部分の張替えで対応が可能ですので、コストも抑えられます。
当院ではシリコン入れ歯は、多くの患者さんに満足して頂いています。
入れ歯が痛くて噛めない方はお気軽にご相談ください。