急に暑くなってきましたね。
蝉の声もチラホラ聞こえ始めました。
診療室もエアコン、扇風機、サーキュレーターがフル稼働です。
さて、8020運動ってご存知ですか?
「80歳になっても20本以上の歯を残しましょう」という厚生労働省が推進する運動です。
達成度は5年に1度行われる歯科疾患実態調査という調査で分かります。
その結果がこちら↓
この結果から80歳の約半数の方が20本歯を残せたことが分かります。
平成5年では約10本だったことから、かなり改善されていることが分かります。
結果自体はとってもいいことなのですが・・
そもそも歯は元々上下合わせて28本あります。(親知らずは含んでいません)
歯には1本1本に役割があり、1本でも失うとかなりバランスが崩れます。
前歯の役割:食べ物の塊をぶつ切りにする包丁のような役割
奥歯の役割:前歯で刻んだ食べ物を臼のような奥歯ですりつぶして飲み込めるようにする
前歯と奥歯というふうにざっくり分けましたが、同じように見える奥歯でも1本1本役割が違います。
ですので1本や2本なくても平気ではないのです。
人間は失った機能にある程度順応し慣れるので、しばらくすると歯がないことに慣れてしまいますが、あくまで慣れであってバランスは崩れたままです。その崩れたバランスを放置すると残っている歯に負担がかかります。
歯を失ったら入れ歯やブリッジ、インプラントを入れればいいのでは?
たしかにそうなんですが、入れ歯やブリッジには寿命があり、更に歯を失う原因になることさえありますし、
崩れたバランスを天然の歯とおなじように回復することはできません。
インプラントは天然の歯に近く、もっとも寿命が長い治療方法ですが、保険適応外で手術も必要です。
まわりくどくなりましたが、元々28本あった歯から8本失い20本になるということはかなり咀嚼機能とバランスを失っているということです。
ちなみに8020運動は約30年前(平成元年)に掲げられた目標です。
その頃は平均寿命もまだ短く、80歳の人はほとんどは総入れ歯(1本も歯がない)の時代です。
今は平均寿命も延び、80歳といえばまだまだ元気です。
これからの80歳は8028(一本も歯を失わない)を目指すのが当たり前になるでしょう。
当院では3~4か月毎のプロケアを推奨しており、かなりの割合の患者さんが、このリコール間隔で来院されています。
プロケアを受けている患者さんは明らかに「歯を治療(削る・抜く)する回数」が減っており、虫歯や歯周病の予防効果がかなり高いことを実感しています。
歯を1本も失わないためには、セルフケアでは不可能です。プロケア(歯の定期健診とクリーニング)を欠かさないようにしましょう!