毎日暑いですね。
暑い中お越しいただいた患者さんに快適に診療を受けて頂けるようにタワー型の扇風機を1台追加しました。
小さな診療室にエアコン4台 扇風機4台 サーキュレーター1台となりました(^_^;)
さて、最新の被せ物材料についてです。
6月23日に「ジルコニアの進化」について書きました。
https://www.sasayama-dc.com/blog/2404/
今回は前歯のフルジルコニアケースを紹介します。
上の前歯6本をかぶせ直した治療です。治療前後を見て頂きます。
治療前 ↓ *左側上の前歯は仮歯を外している状態です
治療後↓ 6本のうち4本はジルコニアオールセラミッククラウン、2本はフルジルコニアクラウンです。
上の前歯6本を被せたうち、どれがフルジルコニアクラウンで、どれがジルコニアオールセラミッククラウンかお分かりでしょうか?
その前に、そもそもフルジルコニアクラウンとジルコニアオールセラミッククラウンとは何なのか・・説明しますね。
ジルコニアオールセラミッククラウンとはジルコニア(人工ダイヤモンド)の上にセラミックを焼き付けた被せ物です。つまり中はジルコニア、表層はセラミックという2重構造になっています。
下の画像はジルコニアオールセラミッククラウンです。被せ物を内側からみています。被せ物の内側が白くて、外側がやや黄色いのがお分かりでしょうか?白い部分がジルコニア、やや黄色い部分がセラミックです。
審美的にかなり美しく仕上がりますが、ジルコニアの上に焼き付けたセラミックの強度にやや問題があり、歯ぎしりや噛み締めなどの習癖、または咬み合わせによってはセラミック部分が欠けてしまうことがあります。
一方、フルジルコニアクラウンとは読んで字のごとく、100%ジルコニアのみで出来た被せ物です。
焼き付けるセラミックに比べて10倍近く硬さがあるので、欠けたり割れる心配がほぼありません。
反面、セラミックのように自然な美しさを再現するのが難しく、これまで前歯など人目に触れる部位には使用されてきませんでした。
去年から今年にかけて、前歯に適応しても審美的に問題ないレベルのフルジルコニアクラウンが開発されましたので、治療に使用しました。(当院では新しい歯科材料や治療方法を導入する際、すぐに取り入れず一定の評価が定まってから慎重に導入しています。)
最初の話に戻ります。どれがフルジルコニアクラウンかという問題ですが、答えは上の前歯の真ん中の大きな歯2本です。左右となりの2本ずつはジルコニアオールセラミッククラウンです。
見た目ではほとんど区別できないと思います。それくらいフルジルコニアクラウンで自然観のある歯を作れるようになりました。
今回、前歯2本のみにフルジルコニアを適応させたのは理由があります。
フルジルコニアにした前歯は、噛み合わせが一部切端咬合というかみ合わせで、上下の前歯同士が強く噛み合わせる咬みあわせなのです。
そのため、術前の前歯の画像では歯の先端の一部がほんの少し欠けているのが分かると思います。
このような咬みあわせの患者さんに従来のジルコニアオールセラミックで被せると表層の焼き付けたセラミック部分が欠けてしまう可能性がありました。
被せるに当たって、前歯の先端同士が強く当たらないように咬みあわせも若干変えつつ被せ直しています。
前歯なのでジルコニアオールセラミックのような審美性も求めたいけれど、硬さもないと困るケース。
そんな時にフルジルコニアクラウンが適応されるんです。
今回、前歯にフルジルコニアクラウンを適応して、審美性もジルコニアオールセラミックに劣らず、強度を確保出来ましたので、今後も似たような咬みあわせケースがあれば適応していきたいと思います。