先日の休診日に医療安全シンポジウムに参加してきました。
抜歯の中でも、特に親知らずの抜歯によるトラブルを中心にした講義です。
色々なトラブルがありますが、中でも深刻なトラブルは、
親知らずを抜歯する際に、親知らずの近くにある神経を損傷してしまい、麻痺などの後遺症が残ってしまうことです。
損傷の程度によっては、半永久的に後遺症が残る可能性があります。
そうなると、裁判になることがあります。
そうならないためには、
①手術前に抜歯の必要性や手術の内容、後遺症が残る可能性についての説明をおこない、その文書をお渡しする。
②説明やリスクについての同意書を取る。
③偶発症や事故が起きた場合は、適切な対応を速やかにおこなう。
上記のいずれかを怠って、後遺症が残った場合は、歯科医院側が裁判で敗訴する可能性があります。
支払額もケースによっては、数百万円に及ぶ場合もあるようです。
当院ではリスクの高い親知らず抜歯については、専門の口腔外科を紹介しています。
口腔外科では、親知らずの抜歯に限らず、普通の簡単な抜歯でも、上記①~③までおこなっているとの事でした。
それは、どんな簡単な抜歯でも、
抜歯は手術
だからだそうです。
確かにリスクのない手術はありませんので、そういう考えは至って当然かもしれません。
たとえば歯周病でグラグラしている歯は、すぐに抜けますが、そのような歯でも手術であることには変わりありません、
街の開業医では、普通の抜歯に同意書を取ることは少ないのですが、今後はそういう対応が普通になると思われます。
下顎の親知らずの抜歯は、その歯の位置や深さにもよりますが、神経損傷等のリスクがありますので、抜歯を検討されている方は、担当医の先生からよく説明を受けられたうえで、処置を受ける事をお勧めします。
今回のブログを読んで頂いて、誤解して頂きたくないのは、
事故=すべてが失敗 ではないということです。
もちろん、とんでもなく低い技術で、事故を起こす場合は失敗ですが、どれほど事前に診断をしても、口腔外科の専門医でも、抜歯は手術ですので、不測の事故が起きる可能性はあります。
抜歯に限らず、リスクのない手術はありません。
ですので、事故が起こらないように、細心の注意を図るのは当然にしても、抜歯のリスク説明や、偶発症や事故が起きた場合の対処法や、後遺症が出た場合の対応を事前に十分ご理解いただくことが、術者と患者さんのお互いにとって、大切だと思われます。
私も今回のセミナーを受講して、安全な診療の大切さを再認識しました。
修了証をいただきました↓
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以上「抜歯による神経損傷と医療訴訟」でした。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院