小さいお子さんが検診で来院された時、
「お母さん、歯のことで何か心配なことはありますか?」と聞いた時に
「ちゃんと磨けてるか心配です。」
といわれることがとても多いです。
生えたての綺麗な子供の歯。
むし歯にしたくないから、仕上げ磨きを頑張りますが、実際は泣いたり騒いだりで、なかなかちゃんとさせてもらえない。
「ちゃんと仕上げ磨きが出来ていなくて、虫歯にさせてしまったらどうしよう…。」と心配になるお気持ちは当然だと思います。
でも実は0~2歳くらいまでのお子さんで、仕上げ磨きが出来ていなくて、虫歯になるお子さんは、そんなにいないんです。
小さいお子さんでむし歯が出来てしまう子は、仕上げ磨きが出来ているかより、食生活習慣が大きな原因になっています。
食生活習慣とは、食べ物・飲み物の種類や、食事の回数です。
下の図をご覧ください。
食事をするたびに、歯の表面は酸性に傾き、脱灰して一度溶けています。
溶けるといっても目には見えないレベルです。
食後しばらくすると、唾液や歯磨き粉のフッ素の力でアルカリ性に戻り、再石灰化して元に戻ります。
しかし、食べたり、飲んだりする回数が多いと、再石灰化で歯が元に戻る前に、また酸性に戻ってしまい、歯が溶け続けてしまいます。
1日4回の食事(おやつを含む)程度なら大丈夫ですが、それ以上に飲食の回数が多いと虫歯リスクはグンと上がります。
食事の回数が虫歯の大きな要因で、歯磨きが出来ているかはその次なんです。
食べる回数は、朝昼晩とおやつの4回だけ。
水分補給のための飲み物は、お水がお茶だけ。(食事やおやつの時は、この限りではありません。)
これだけで、かなりむし歯になりにくくなります。
お子さんが嫌がって、仕上げ磨きが上手く出来なくても、フッ素入りの子供用歯磨きジェルを歯に塗りましょう。
歯ブラシにジェルをたっぷり乗せて、歯にべったり塗りつけます。
歯垢が完璧に落ちていなくても、上からフッ素ジェルを塗るだけでも、むし歯の予防効果はあります。
こども用のフッ素ジェルは濃度が薄いので、歯磨きジェルを飲み込んでもフッ素中毒になりません。
次に2歳半くらいで乳歯が全部生え揃った頃の話です。
赤ちゃんの頃みたいに、仕上げ磨きを強烈に拒否されることはあまりないと思います。その頃には、上下で20本乳歯があります。
一番奥の歯と、その前の歯の間が虫歯の好発部位です。(青矢印部分)
乳歯が生え揃うと、歯と歯の間の虫歯が増えますので、仕上げ磨きで糸ようじを毎日おこないましょう。(乳歯が生え揃う前にはじめるのもOKです。)
歯と歯の間は、とても虫歯になりやすいので、糸ようじは
時々ではなく、毎日するのがポイントです。
そしてもっとも大切なことは
歯磨きより前に、糸ようじをすることです。
その理由は、
先に歯と歯の間を掃除することで、後でつける歯磨き粉や歯みがきジェルの成分が歯と歯の間に浸透しやすくなるからです。
当院では、お子さんが楽しく通えるように、歯磨き指導やフッ素塗布など、ダメ出しゼロ、褒めて褒めて褒める、ゆるやかな予防を心掛けています。
お子さんのお口で気になることがありましたら、何でもご相談下さい。
以上「虫歯になりやすいお子さん。仕上げ磨きで大切なこと。」でした。
皆様のお口の健康維持に少しでも参考になれば幸いです。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院