令和4年歯科疾患実態調査の結果 昭和~平成~令和 虫歯増えた?減った?

院長の笹山です。

「歯科疾患実態調査」

聞きなれない言葉だと思います。

ざっくり言いますと、国民のお口の状態がどうなのかの統計をとるために国がおこなう調査です。

5年おきに調査されますので、過去と今では国民の歯の健康状態が、良くなっているのか?悪くなっているのか?分かります。

たとえば日本人の虫歯は減ったのか?とか、歯の残っている本数は増えたのか?などです。

先日その結果が、歯科医療従事者向けのサイトで要約されて掲載されました。

色々な項目で調査しているのですが、興味深い、皆様に知っていただくと良いかなと思った項目の結果をピックアップしてみました。

*表や結果はWHITE CROSS様のサイトから引用しています。

①虫歯は5〜34歳では減少傾向を示していたが、55歳以上では増加傾向にあった。

 

表3 5歳以上で永久歯にう歯をもつ者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

私の感想

55歳以上で増加というのは高齢者人口が増えたことと、歯茎が痩せて、露出した歯根に出来る根面カリエスという歯の根の虫歯が関係していると考えます。歯の根は歯の表面のエナメル質と比べて、4分の1程度の硬さしかないので、虫歯になりやすいのです。

根面カリエスについてはこちら↓

大人の虫歯が出来る原因は●●が多かった。

②8020達成者の割合はほぼ横ばい

20歯以上の自分の歯を有する者は、55歳以上において、一部の年齢階級を除いて増加傾向であった(表6、図6)。

 

表6 20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

 

図6 20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

 

80歳で20本以上の歯を有する8020達成者の割合については、75〜84歳の20本以上の歯を有する者の割合から51.6%と推計され、前回調査時の51.2%とほぼ横ばいの結果であった。

私の感想

平成5年では10.9%ですから、30年間で8020を達成した人がおよそ5倍に増えたことは凄いと思います。

私が歯医者になった平成11年でも15.3%です。

この頃はおじいちゃん、おばあちゃんと言えば、入れ歯をしているのが当たり前でした。

卒業したばかりで入れ歯治療の経験が浅かったので、全然上手く治療できなかったことを思い出します。

その経験から、入れ歯だけは絶対に上手くなろうと特に力を入れて、勉強しました。

ちなみに歯は親知らずを除くと、上下合わせて28本あります。

20本あれば、ぎりぎり噛めると言われています。

しかし、やはり28本ある方が断然よく咬めます。

人生100年時代といわれます。

80歳になった後も、人生はそこそこ続きそうです。

その時に平均値である20本でいいのか?

それとも28本の方がいいのか?

ご自身の健康について考えてみたいですね。

③国民のセルフケアへの意識は年々向上している

1歳以上において、毎日ブラッシングする者の割合は97.4%。毎日2回以上ブラッシングする者の割合は年々増加を続けており、今回は79.2%であった(表8、図8)。

表8 1歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(表は厚労省HPより引用)

 

図8 1歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

 

また、デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っている者は全体の50.9%、舌清掃を行っている者は21.1%であった。男女別に見ると、ほぼすべての年代で女性の方が歯間部清掃または舌清掃を行っている者の割合が高く、40〜70代の女性においては6割以上がデンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っているという結果であった(図9)。

 

図9 デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯間部清掃をしている者の割合、性・年齢階級別(グラフは厚労省HPより引用)

前回調査時においては、歯間部清掃を行っている者が全体の39.2%であったことから、以前よりも歯間部清掃の必要性についての認知が広がっていることが伺えた。

私の感想

舌清掃の割合が21.1%は良いことだと思います。

口臭対策に有効な舌清掃をお勧めします。

最近では20代くらいの患者さんでも普通にデンタルフロスなどを使って歯間ケアをしています。

まだ歯間ケアをしていない人は絶対した方がいいです。歯と歯の間は虫歯・歯周病の好発部位です。

こちらも参考にどうぞ↓

歯と歯の間の虫歯は気づくまで時間がかかる

 

歯間ブラシとフロスは両方やった方がいいんですか?

以上「令和4年歯科疾患実態調査の結果」でした。

皆様のお口の健康増進のために参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

令和4年歯科疾患実態調査の結果 その2