ガイデットサージェリー、初めて聞く言葉かもしれません。
ガイデットサージェリーは、インプラント手術をより安全に行うための方法です。
下の画像をご覧ください。上あごの歯と歯ぐきの画像です。
青囲いの歯4本は、歯根破折により抜歯せざるを得なくなり、その後、左側の赤丸部分に2本のインプラントを入れて、新しく入れ歯を作る予定です。
上の画像の赤丸部分に2か所にインプラント入れる計画をしていて、入れる位置を数mmも左右前後にズレたくないとします。
なぜ数mmもずれたくないかといいますと、その部分の骨の状態や噛み合わせなど、最適な位置がそこだからです。
しかし、手術に際して、治療ユニットに仰向けに寝ている患者さんの口の中を覗き込みながら、この赤丸の位置から数mmズレずにインプラントを入れることは、ほぼ不可能です。
覗き込みながら治療する時点でかなり難しくなるのですが、
もう一つ決定的な理由があります。
それは、
インプラントを入れたい部分の周りに歯がないため、入れるための位置の指標がないからです。
たとえば、下のレントゲン画像のようなインプラントを入れる場合でしたらどうでしょう?
向かって右下に1本のインプラントが入っています。
このインプラントの手前(左側)には、ご自身の歯があります。
このインプラントを入れるためには、手前の歯の数mm右側に入れればいいので、手前の歯が位置の指標になります。
指標があるのとないのでは、インプラントの入れやすさは大きく異なります。
例えるなら、
何も置いていない広い運動場に
「この運動場の”真ん中”にボールを置いてください。」
と言われたとします。
しかし運動場を空から見下ろしでもしない限り、どこが”真ん中”かは正確には分かりません。
ですので、ボールを”真ん中”に置くのは難しいですが、もし運動場の”真ん中”にポールが立っていたら、どうでしょう?
そのポールの横にボールを置けばほぼ真ん中に置けますね。
たとえが伝わりましたでしょうか?
インプラントを入れる際に、その近くに入れる位置の指標があるのとないのでは、入れやすさが全然違うんです。
最初の画像に戻ります。
インプラントを入れたい位置の前後に、位置の指標となる歯がありません。
この位置に前後左右、しかも傾きもズレずに入れるためには、
このようなものを使います↓ これをガイドといいます。ガイドとは、”旅のガイド”と同じで、案内とか誘導みたいな意味ですね。
このガイドは、事前に撮影したCT画像を使って、シミュレーションソフトで私がデザインしたものを、ガイド製作会社に発注して製作されたものです。
実際にシミュレーションした時の画像↓
実際の手術では、
このようにガイドを口の中に装着し、ガイドの穴にドリルを入れて、骨に穴を開けると「ここに入れたい。」と計画した位置に、ほぼ狂いなくインプラントを入れることが出来ます。
術後です。ヒーリングアバットメントが見えています。
事前に計画した位置と同じ位置に無事インプラントが入りました。
このようなガイド使ってインプラント手術をおこなうことを、
ガイデットサージェリー
(ガイドされた手術)といいます。
このガイドを用いるメリットは、位置を迷うことなく、インプラントを入れられますので、手術が早く終わり、術者も患者さんもとても楽です。
以前にも書きましたが、早く(正確に)手術を終えると、患者さんの術後の痛みも楽になります。
以上「ガイデットサージェリー 安全なインプラント治療のために」でした。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院