個人的な見解ですが、治療の上手な先生は、説明も上手だと考えています。
今回はインプラントを例にとって、お話しします。
以下のポイントがあると思っています。
①治療の説明が分かりやすい。
治療の説明が分かりやすいというのは、単に話術のスキルだけでなく、今まで多くの患者さんに何度も説明してきた経験が、分かりやすい説明に磨きをかけていると考えます。
10人にしか説明したことがない人と、1000人に説明したことがある人では、説明力は異なると思います。
たとえば年数回しかインプラントしない先生と、毎週、毎月インプラントをする先生では、説明の経験回数が違いますから、分かりやすさだけでなく、説明のまとまりを感じることが出来るでしょう。
また、どんな質問をした場合でも的確な答えをくれるでしょう。
なぜなら、今まで多くの患者さんに色々な質問を受けてきて、その答えを持っているからです。
②説明に自信を感じられる。
私もインプラント経験が少ない時は、恐る恐る説明していました。
単純に説明経験が少なく、慣れていなかった部分もありますが、大きな要因は上手くいかなかったら、長持ちしなかったら、どうしようという思いがあったからです。
しかし長年インプラントをおこなっていると、自分のおこなったインプラントがどのくらい持つか分かるようになります。
論文やセミナーやインプラントメーカーが「インプラントは10年で90%以上持つ。」と謳っていても、結局は自分が治療したインプラントが10年持たないと、本当の納得して自信をもつことは出来ないと思います。
どんな治療でも最初からは上手くいきません。小さな失敗を繰り返し、原因追求し、ブラシュアップすることで、治療や説明に自信がついてきます。
「絶対上手くいきますよ。」とか「私は経験豊富ですよ。」といった説明ではなく、説明に落ち着きを感じられるということです。
インプラントの説明では当然、上手くいかなかった場合の説明もしておかなければなりません。
昔はそれが苦手でした。そういう説明をしたら、患者さんがインプラントを敬遠されるんではないかといった気持ちからです。
今では、上手くいかなかった場合の説明も普通に出来ます。
何故かというと上手くいかなかった経験をして、そこからどうやってリカバリーするかまで習得しているからです。
上手くいかないというのは、失敗とイコールではありません。
生体におこなう手術ですから、生体が上手く反応しないこともあるのです。
そういう場合でも、きちんとフォローできる経験があれば、自信をもって、勧めることが出来ると思います。
③治療の説明に科学的根拠がある。
治療方法や治療期間、費用を説明するのは当然ですが、治療方法について科学的な根拠に基づいた説明が出来ることが大事です。
治療は物を売るのとは違いますから、インプラントとはそもそも何なのか?インプラントはどういう歴史がある治療なのかなどを、科学的根拠を交えつつ、それを患者さんに分かりやすい言葉で説明できることが大切です。
今回はインプラントを例にとって説明しましたが、
どんな治療においても上手な先生は、説明が上手で、分かりやすく、押しつけがましくなく、理論的に説明が出来る先生だと思います。
そしてもっとも大事なことは、患者さんの希望をよくお聞きすることです。
もちろん、すべての希望に沿うことは出来ませんが、まずはご希望やお悩みをお聞きし、その中で、自院で出来ること、出来ないことを最初に明確にしておくことが、医療側、患者さん双方にとって大事なことだと思っています。
以上「上手な先生は説明も上手。」でした。
皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。
宝塚市の歯医者 笹山歯科医院